クリニック開業手順/スケジュール
開業場所の選定
※スケジュール表はあくまでも目安です。
開業される地域や科目によって変更になる場合があります。
医院を開業するにあたり、場所の選定は重要です。診療圏調査や競合するであろうクリニックの状況・診療科目の特性を考慮した上で、慎重に選ぶ必要があります。
開業エリアの特性
お勤めの病院との関係や、先生の出身地など開業のきっかけに関わりある程度開業エリアを絞られている先生もいらっしゃいますが、一方で、開業場所については、都市部とも郊外とも決めていないこともあるかと思います。
その場合にはまず開業エリアの特性について理解しておくようにし、開業手順の1:コンセプトの確定と照らして先生に会う開業エリアを決めていきましょう。
2-1.診療圏調査・医院開業物件の確定
いかに近くに競合するクリニックが少ないとしても、地元の人が行きにくい場所があります。
たとえば、川があって遠回りをしないとたどり着けない場所や、古くからの鉄道(高架線になっていて線路が交通の障害にならないものは除く)と大きな国道に挟まれて、近隣に住民が少ない場所などです。
診療圏調査の数字は必ずしも当てになりません
それは、個々の医師の評判の取り方によって、必ずしも統計数値の通りの患者様が来ない場合もあるからです。
診療圏調査も無料のものから300万円ぐらいまで、調査を依頼する先によっても違います。
値段が高いからといって正確なものとは限りません。もちろん無料のものは、地域別年齢別人口統計に受診率(人口10万人当たりの1日当たり推計患者数)をかけて計算します。
受診率は、厚生労働省が3年に一度行う「患者調査」の結果をもとに、傷病別、性別、年齢別などに計算されています。そこから求められる患者数をライバルのクリニックで割ったものという単純なものです。
診療圏調査で抑えるべきポイントは「競合になるであろうクリニックの実態」です
診療圏調査の数字だけで判断するのではなく、自分の強みと競合になるであろうクリニックの状況を見て口コミを取るため(※まずは患者様にきていただくためにへ)の戦略を立てていくことをお勧めします。
このことを徹底的に行った結果、診療圏調査の3倍以上の患者様を集められる医師もいらっしゃいます。
現地を自分の目で確かめることも大切です
また、実際に現地へ足を運び、自分の目でその土地の地域性・競合になるであろうクリニックの状況を綿密に確認することも大切です。
そうすれば、診療圏調査は無料のものを使っても、ある程度の患者様の外来数は予想できます。
医院開業形態の違いによる注意点
戸建開業
土地を購入される場合もあるでしょうが、お身内の土地を借りて建物を医師が購入する場合もあるでしょう。お身内が医療法人を経営している場合、その医療法人を活用するのも方法です。
<注意点>
- 開業コストが高めになるのでしっかりした事業計画と返済余力が必要となります。
- お身内の土地を借りたり、医療法人を活用する場合、契約形態や医療法人の運営に十分な注意が必要となります。医療法やファイナンシャル・プランのプロの活用が不可欠となります。
定期借地戸建開業
土地を借りて開業するため、購入の場合に比べてコストが圧倒的に安くなります。
現実的に第三者と定期借地権の種類を確定したり、契約内容を詰めるのが難しく次の建て貸し戸建開業が一般的です。
<注意点>
- 一般定期借地権は期間50年以上であり、土地の返却時に建物を医師かその後継者が取り壊さなければなりません。期間も長すぎます。
- 建物譲渡特約付借地権は存続期間30年以上であり、医師が建てた建物に所有権移転請求権保全の仮登記をします。契約終了時に借地権が終了し、その時点での正当な評価で地主に建物を譲渡することができます。
建て貸し戸建開業
土地も建物も地主さんに建ててもらい、医師はビル診のように保証金を払い家賃を支払って開業します。内装工事を医師持ちにする場合と内装工事も地主さん負担とする場合の2通りの選択ができます。
ビル診と負担はあまり変わりませんが、設計の自由度が高く駐車場付きの戸建開業ができます。
自己資金が少ない場合の郊外での開業向きといえます。
<注意点>
- 途中で解約するとしても、15年程度は違約金の支払いが決められることが多いので家賃を支払い続ける必要があります。
ビル診療所開業
都心および都内近郊での一般的な開業形態です。
実質的に一番軽コストな開業といえるでしょう。保証金を支払い、内装工事は医師負担です。
<注意点>
- レントゲンを入れる際、電気容量が不足することがよくあります。
変圧器の増設を始めから交渉する必要があります。 - 天井の高さにより、空調設備の制約を受けることがあり、クリニックとしては不適切な物件を始めから排除しなければなりません。
- テナント物件がクリニックに適しているか見極める必要があります。(テナント物件の種類や借りる際の注意点はこちらから)
- 将来の医療法人化を視野に入れると、資金調達のタイミングが重要となります。
開業後の運営に詳しい専門家を活用されることをお勧めします。
リースクリニック
都内中心部で見かけられる開業形態です。
内装も全て業者負担で、医療機器なども同時にパッケージでリース契約します。
総合受付なども用意されているクリニックモールにたまに見られる形態です。
<注意点>
- 開業の運営資金がとにかく高いのが難点です。
自己資金が少ないからと言って安易に選択すると、長期的視野で見ると相当なコストを負担することになります。
医療モール(クリニックモール)
医院開業時に物件の候補として挙げられるのが医療モール(クリニックモール)です。
実際に医療モールのテナントを勧められた先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
医療モールもその特性/メリット・デメリットを理解し、コンセプトと照らした上で選択していきましょう。
医療モールのメリットとデメリットはこちらで紹介しております。