成功するクリニックの開業場所選び
テナント物件の種類や借りる際の注意点

クリニック開業準備を進めていくなかで、時間を要する工程の一つにクリニックの開業場所選びが挙げられます。

「良い場所」が見つかったという場合でも、テナントの要件によっては、適するところではなかったということもあります。

ここでは、これから開業される先生に向けて、テナント開業における注意点、見落としやすいポイントについて解説してまいります。

クリニックのコンセプトに合致したテナント探し

まずは、ご自身のクリニックのコンセプトを固めたうえで、クリニックの開業場所を選定していく必要があります。

クリニックの開業形態には、以下の選択肢があります。

  • テナント開業
  • 戸建て開業

都市型開業となると、土地から確保することが難しいため、テナント開業が一般的です。

また、良いテナントといってすぐに決めてしまうのではなく、さまざまなポイントを見極めていく必要があります。

見落としがちなチェックポイント

とはいえ、テナントを選ぶ際に、どのような点を見て選べばよいのかわからない先生も多いでしょう。

以下、特に見落としやすいテナント入居時のチェックポイントについて説明いたします。

ビルの用途区分

テナントには、以下のように用途別の区分があります。

  • オフィス用のテナント
  • 商業施設用のテナント

クリニックが入居する場合、一般的には商業施設用のテナントに入居することとなります。

オフィス用に作られたテナントにクリニックが入居する場合は、建物のオーナーさんに役所への届出を変更してもらう必要があります。

また、オーナーさんによっては、対応してくれずに、オフィス用テナントにクリニックは入れないという方もいらっしゃるでしょう。

オーナーさんに動いてもらうこともあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

スケルトン物件か居抜き物件か確認する

また、スケルトン物件かという点も工事費用に関連してくるため重要です。

スケルトン物件とは、店舗の床や壁などが何もない状態の物件を指します。

反対に、「居抜き物件」といい、前のテナントの設備を残したまま貸し出している物件もあります。

設備が残っているなら良いと思う先生もいらっしゃると思いますが、前に入居していたテナントと事業体が異なる場合、ほとんどが不要な設備にあたります。

クリニックの工事を進めていくにあたり、元ある内装を壊す必要があり、工事の費用が増えるため、注意が必要です。

排水の位置

排水設備を整えるには、床上げが必要になります。

というのも、水を流すために傾斜をつける必要があるためです。

したがって、床上げが可能か、また床を上げる分、天井の高さが窮屈にならないかも確認しておきましょう。

前に入居していたテナントは何か

前に入居していたテナントの事業体を確認できると良いでしょう。

先ほど説明した居抜き物件の場合、クリニックに不要なものを壊さなければなりません。

また、仮に以前飲食店が入っていた場合、飲食店のにおいが染みついており、テナント自体の質があまり良くないということも想定されます。

テナントの事業体に加えて、設備がどのような状態か、どれほど消耗されているかまで確認しましょう。

どのような人がテナントに足を運んでいるか

多くの先生は診療圏調査を行い、近隣のクリニックや地域住民のおおよその年齢層は把握されていることと思います。

ただ、診療圏調査からだけでは見えにくい、入居したいテナントについても実際に確認しておくと良いでしょう。

同居する商業施設はどのようなものがあるか

まずは、ビルに入居しているほかの施設との兼ね合いを考慮する必要があります。

例えば、心療内科の入居を検討しているビルに、お子様の学習塾や賑わっている飲食店が入居していた場合、患者様はクリニックに受診しやすいといえるでしょうか。

おそらく、他の方の視線が気にしてしまうなど、受診へのハードルが高いことが想定されます。

テナント周囲の人通り、人の流れを確認する

また、テナントが面している場所についても確認する必要があります。

駅から近い場所や路面店であっても、人通りが少なければクリニックの視認性は優れているとはいえません。

どのような人がテナントに来ているかに加えて、周囲の人通りなどを含めたテナントの場所についても確認しておきましょう。

テナントが開いている時間はいつか

テナントによっては、開館・閉館時間が既に決まっているところがあります。

テナントの開館時間と合わなく、希望していた診療時間で診療が出来ないとなっては、元も子もありません。

仮に、テナントが開いている時間と診療時間が合わない場合、オーナーさんに依頼して開けてもらうという選択肢もあります。

ただ、この点は、オーナーさん次第で変わってきますので、前もって確認する必要があります。

近くに薬局があるか

テナントの近くに薬局があるか確認する必要があります。

もちろん、院内処方するというのも選択肢の一つですが、費用対効果はあまりよくありません。

薬局にお薬の処方をお願いする場合は、まずは、テナントの近くに薬局があるかを確認することが大切です。

加えて、テナントから歩いていくことのできる近い距離にあるかまで確認しておくと、患者様にとって通いやすいクリニックとなるでしょう。

先生ご自身がテナントに足を運んで確認する

最終的には、先生ご自身も現地まで足を運び、確認することをおすすめいたします。

これまで説明してきたいくつかのチェックポイントとともに、受診する患者様の立場になり、受診しやすい場所かなど確認しておくことが大切です。

やはり、現地に実際に足を運ぶことで、インターネット上だけでは得られない情報が得られることでしょう。

コンサルタントを活用することも選択肢の一つ

ここまで、テナント入居時に確認すべきポイントについて説明してまいりました。

上記のポイントを事前に確認しておくことで、物件探しにおける時間の無駄を減らすことができるでしょう。

とはいえ、勤務医をしながら開業準備を進めている先生にとっては、これらすべてを確認しつつ探すとなると、かなりの時間と体力を要します。

したがって、先生は時間をかけるべきところに注力し、クリニック開業に精通したコンサルタントとともに、効率よく開業準備を進めていくというのも選択肢の一つでしょう。

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