機能強化加算
機能強化加算とは
外来医療における適切な役割分担を図り、専門医療機関への受診の要否の判断等を含む、より的確で質の高いかかりつけ医機能を持つ診療所を評価するための加算です。
厚生局へ届出を行うことで、初診料の算定時に80点の加算が可能です。
対象患者
- 初診料を算定する患者
算定要件
必要に応じ、患者に対して以下の対応を行うとともに、当該対応を行うことができる旨を院内及びホームページ等に掲示し、必要に応じて患者に対して説明すること。
- @患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品を把握し、必要な服薬管理を行うとともに、診療録に記載すること。
なお、必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことも可能であること。 - A専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと。
- B健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じること。
- C保健・福祉サービスに係る相談に応じること。
- D診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うこと。
点数
80点
届出要件
≪届出・実績に関する要件≫
次のいずれかを満たしていること
- @地域包括診療加算1に係る届出を行っていること
- A地域包括診療加算2に係る届出を行っており、直近1年間において下記のいずれかの実績を満たしていること
@)地域包括診療加算2を算定した患者が3人以上
A)在宅患者訪問診療料(T)の「1」、在宅患者訪問診療料(U)又は往診料を算定した患者の数の合計が3人以上 - B地域包括診療料1に係る届出を行っていること
- C地域包括診療料2に係る届出を行っており、直近1年間において下記のいずれかの実績を満たしていること
@)地域包括診療料2を算定した患者が3人以上
A)在宅患者訪問診療料(T)の「1」、在宅患者訪問診療料(U)又は往診料を算定した患者の数の合計が3人以上 - D小児かかりつけ診療料1または小児かかりつけ診療料2に係る届出を行っていること
- E在宅時医学総合管理料に係る届出を行っている医療機関であって、在宅療養支援診療所(1)または在宅療養支援診療所(2)に該当する医療機関であること
- F在宅時医学総合管理料に係る届出を行っている医療機関であって、在宅療養支援診療所(3)に該当する医療機関であり、下記のいずれかを満たしていること
@)過去1年間の緊急の往診の実績が3件以上
A)過去1年間の在宅における看取りの実績が1件以上又は過去1年間の15歳未満の重症児及び準超重症児に対する在宅医療の実績が1件以上
≪人員に関する要件≫
地域における保健・福祉・行政サービス等に係る対応として、以下のいずれかを行っている常勤の医師を配置していること。
- @介護保険制度の利用等に関する相談への対応及び要介護認定に係る主治医意見書の作成を行っていること。
- A警察医として協力していること。
- B乳幼児の健康診査 (市町村を実施主体とする1歳6か月、3歳児等の乳幼児の健康診査)を実施していること。
- C予防接種(定期予防接種)を実施していること。
- D幼稚園の園医、保育所の嘱託医又は小学校、中学校若しくは高等学校の学校医に就任していること。
- E「地域包括支援センターの設置運営について」(平成18年10月18日付老計発1018001号・老振発1018001号・老老発1018001号厚生労働省老健局計画課長・振興課長・老人保 健課長通知)に規定する地域ケア会議に出席していること。
- F通いの場や講演会等の市町村が行う一般介護予防事業に協力していること。
≪診療体制に関する要件≫

地域におけるかかりつけ医機能として、必要に応じ、以下の対応を行っていること。
また、当該対応を行っていることについて当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
- @患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品を把握し、必要な服薬管理を行うこと。
- A専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと。
- B健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じること。
- C保健・福祉サービスに関する相談に応じること。
- D診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うこと。また、医療機能情報提供制度を利用してかかりつけ医機能を有する医療機関等の地域の医療機関を検索できることを、当該医療機関の見やすい場所に掲示していること。
掲示している内容を記載した文書を当該保険医療機関内の見やすい場所に置き、患者が持ち帰ることができるようにすること。
また、患者の求めがあった場合には、当該文書を交付すること。
【令和4年度の診療報酬改定】
機能強化加算については、届出の要件が全体的に見直されました。
地域包括診療加算2、地域包括診療料2及び医療機関及び在宅療養支援診療所(3)の届出を行っている医療機関については、診療の実績が求められるようになりました。
ただし、令和4年9月30日までは経過措置が設けられるため、現時点で実績を満たしていない医療機関についても、算定は可能です。
要件の見直しにあたり、診療報酬改定以前に届出を行っていた医療機関についても、届出の再提出が必要です。届出漏れがないように注意しましょう。
また、かかりつけ医機能を有する医療機関であることをホームページに記載する必要があります。
関連する科目
開業・経営におけるポイント
「地域包括診療加算」「地域包括診療料」「小児かかりつけ診療料」「在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料」の届出を行っていれば算定可能な施設基準なので、届出漏れがないように注意しましょう。
「地域包括診療加算」や「小児かかりつけ診療料」は算定対象となる患者が限られていますが、「機能強化加算」は初診の患者であれば誰にでも算定可能です。
機能強化加算の要件見直しに係る議論
機能強化加算については、その算定要件に対する厳格化の議論があります。
上述のような施設基準を満たしていればすべての初診患者へ加算をすることが可能である点は、健康保険組合連合会からも問題として提言されており、同連合会は算定要件を見直し、対象を慢性疾患の患者に限るなどの厳格化を求めました。(1)
また、中央社会保険医療協議会では支払側委員より、患者へのかかりつけ医機能の説明が不十分と指摘が上がり、算定対象限定を訴えています。(2)
診療側との意見の隔たりは依然ありますが、少なくとも院内掲示や患者への説明強化を強化することは求められており、今後さらに算定要件が厳格化されることも考えられます。
機能強化加算込みでの診療報酬、収支策定などの際には念のためご注意ください。
参考:
(1)機能強化加算の要件見直しを提言、「継続管理が必要な患者に限定すべき」〜健保連 マイナビDOCTOR 2019.08.27
(2)【機能強化加算】、個々の患者に「かかりつけ医機能」について詳しく説明せよと支払側要望―中医協総会(2) GLOBAL HEALTH CONSULTING 2019.10.31