在宅医療(往診・訪問診療)の開業資金・診療報酬・リスク

在宅医療にどのくらい取り組むのか決める

在宅診療の開業については在宅医療のみを実施する医療機関とするのか、外来を行いながら在宅医療も実施するのか、コンセプトを決めなくてはいけません。

在宅医療のみを実施する医療機関として開業する際には、以下の開設要件を満たさなくてはいけません。

  • (1)無床診療所であること。
  • (2)当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とする行政区域、住所等)を被保険者に周知すること。
  • (3)(2)の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと。
  • (4)外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、(2)の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意 を得ている場合にはこの限りではない)。
  • (5)(2)の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡先等を広く周知すること。
  • (6)診療所の名称・診療科目等を公道等から容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間にわたり、診療所において、患者、家族等からの相談に応じる設備、人員等の体制を備え ていること。
  • (7)通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。

参考:厚生労働省「在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取扱いについて」

24時間365日の体制は必要なのか?

24時間365日の在宅医療体制は必ずしも必要ではありませんが、在宅療養支援診療所として施設基準を満たすには、24時間365日の体制が必須要件です。

在宅療養支援診療所(以下、在支診)とは?

在宅で療養する患者に対し、24時間 365日連絡・往診・訪問看護を提供できる体制を持つ診療所が該当します。

体制構築には、自院もしくは他医療機関・訪問看護ステーション等と連携し、24時間の往診・訪問看護体制をしきます。

在支診と在支診以外の医療機関が在宅医療を行った場合、診療報酬の評価に大きな差があります。

在宅医療を行うクリニックの開業ポイント

厚生労働省は、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年を目途に、
高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される『地域包括ケアシステム』の構築実現に向け制度改革を進めています。

これに伴い、高齢者の診療は、病院から老人ホームなどの施設や在宅で受けてもらうようにシフトしてきており、
今後も在宅医療の需要は高まっていくことが予想されます。

在宅医療の診療報酬体系

診療報酬が高い

外来に比べ、一人当たりの診療報酬単価が高く設定されている。

1回あたりの診療収入平均20,000円-30,000円/人
※月2回訪問診療を行った場合(施設基準、各種加算算定により変動有)

体制や実績による加算

24時間365日体制を整えることで診療報酬が加算される。
緊急往診や看取りの実績有する医療機関はさらに診療報酬が加算される。

開業のポイント

開業地域にあった地域包括ケアシステムの構築

在宅医療の場合、外来型のクリニック以上に他の施設との連携が大切になります。
基幹病院や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などとの連携を通じ患者さんのサポートにあたることが求められます。

また連携先から紹介を受ける患者の割合は多く、継続的な連携体制の構築が望ましいです。

将来的には、事業所内に「訪問看護ステーション」や「居宅介護支援事業所」を開設し、ワンストップで医療・介護を提供できる組織作りをすることで利便性が上がります。

バックオフィスの充実

連携施設や患者さんの家族とのやりとりなど、外来中心のクリニックには無いクリニックのサポート体制整備が求められます。

複数の医師で24時間365日体制を構築。医師のライフワークバランスも大切に

一人の医師で24時間365日体制を持続させることは困難です。
連携施設を含め、複数の医師での在宅医療の体制を構築が望ましいです。

一人の医師で対応するには限界がありますので、複数の医師による交代制で対応することが望ましいです。

現在の診療報酬体系では、3人以上の常勤医師(他施設医師も含めることも可能)で在宅医療体制を整えている医療機関は診療報酬が高く設定されています。

開業資金が少ない

在宅医療を専門で行う場合、医療機器が必要ない分開業費用を抑えることができます。

将来的にはサ高住の運営などの事業拡大も

在宅診療所の経営が軌道に乗った場合、医療法人化をしてサービス付き高齢者住宅の運営など事業展開をしていくことも可能です。グループ内で医療面のケアも行えるため、入居者に対しても安心感を持ってもらえるメリットがあります。

ホームページは分かりやすくかつ差別化を

在宅診療を外来と一緒に行うにしても、在宅診療一本で開業するにしても、ホームページでのアピールを怠らないようにしましょう。

他の診療科目では多くの場合には、患者さんに見つけてもらい、受診したいと思ってもらえるホームページ作りが重要ですが、在宅診療では医療従事者の方に対しての丁寧な発信が重要です。

開業地近隣のドクターたち、また基幹病院のスタッフ・関係者の皆様、そして高齢者向け入居施設の運営者など多方面に対してのご案内を充実させましょう。

開業前の連携体制作りにも、開業後に患者さんを紹介し合う際にも役立ちます。

また患者さんと医療従事者の方双方に対して、下記のような項目を発信していきましょう。

  • クリニックの理念・先生の思い
  • 在宅診療の対象になる方
  • 対応できるエリア
  • 対応体制や時間
  • 在宅医療開始までの流れ
  • 費用に関する案内 など

在宅医療、訪問診療のキーワード

クリニックを開設する上で標榜科目を決定しますが、自治体によっては訪問診療という文言を入れることができないケースがあります。

その場合、標榜上は「内科、循環器内科、精神科・・・」など、一般の外来クリニックと同様に記載されることになり、これだけでは在宅を専門にする医療機関だという認知がされにくい可能性もあります。

この点踏まえ、ホームページにてしっかりとキーワードを入れ込むこと、また地域の医療機関ポータルサイトなどでは専門性として訪問診療にチェックする、自由記載欄でアピールするなど、積極的にキーワードを埋め込んでいきましょう。

在宅医療(在宅診療)で取得する施設基準

開業のコンセプトによって必要、不要なものがございます。

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