地域包括診療加算
地域包括診療加算とは
かかりつけ医機能を持つ診療所を評価するための加算です。
厚生局へ届出を行うことで、再診料の算定時に「地域包括診療加算1」または「地域包括診療加算2」の加算が可能です。
対象患者
高血圧症、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る。)、または認知症のうち、2つ以上(疑いは除く)の疾患を有する患者
算定要件
- 初回算定時に患者の署名付きの同意書を作成し、診療録に添付すること
- 患者に処方されている医薬品を全て管理し、診療録に記載すること
- 標榜時間外の電話等による問い合わせに対応可能な体制を有していること
点数
- 地域包括診療加算1:25点
- 地域包括診療加算2:18点
届出要件
- 慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師が勤務していること
- 院外処方を行う場合は、24 時間対応をしている薬局と連携をしていること
- 要介護認定に係る主治医意見書を作成しているとともに、以下のいずれか一つを満たしていること
@居宅療養管理指導を提供した実績があること
A 担当医が地域ケア会議に年1回以上出席していること
B介護保険によるリハビリテーションを提供していること
C担当医が、都道府県等が実施する主治医意見書に関する研修会を受講していること - 在宅医療の提供及び当該患者に対し 24 時間の往診等の体制を確保していること
※「地域包括診療加算2」の場合は、24時間の連絡体制でよい - 以下のいずれか1つを満していること
@時間外対応加算1、2又は3の届出を行っていること
A常勤換算2名以上の医師が配置されており、うち1名以上が常勤の医師であること
B在宅療養支援診療所であること - 外来診療から訪問診療への移行に係る実績について、以下の全てを満たしていること
※「地域包括診療加算1」を算定する場合のみ
@直近1年間に、当該保険医療機関での継続的な外来診療を経て、往診料、在宅患者訪問診療料(T)の「1」又は在宅患者訪問診療料(U)(注1のイに場合に限る。)を算定した患者の数の合計が、 在宅療養支援診療所については 10 人以上、在宅療養支援診療所以外の診療所については 3人以上であること。
A直近1か月に初診、再診、往診又は訪問診療を実施した患者のうち、往診又は訪問診療 を実施した患者の割合が 70%未満であること
【令和4年度の診療報酬改定】
地域包括診療加算の対象疾患として、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る。)の2疾病が追加されました。
新たに算定を開始する場合は、同意書を作成する必要があるのでご注意ください。
また、算定の要件として、患者の予防接種の実施状況を把握し、予防接種に係る相談に対応することが求められるようになりました。
関連する科目
開業・経営におけるポイント
一般内科の診療を行うクリニックでは、算定が可能な加算です。
同意書の作成や服薬管理、在宅診療体制の確保等、算定するためにはドクターや事務スタッフの負担が多くなりますが、地域包括診療加算の届出を行うことで「機能強化加算」(初診に80点加算。別途届出が必要)の算定が可能になります。
算定には研修の受講が必須です。届出の提出を少しでも考えている場合は、比較的時間のある開業前に受講しておくのがよいでしょう。
また、「地域包括診療加算」は2年ごとに届出の再提出が求められ、2年後に再提出するまでに毎回「慢性疾患の指導に係る適切な研修」を受講している必要があります。