在宅療養支援診療所

在宅療養支援診療所とは

在宅療養支援診療所とは、在宅診療患者に対し24時間対応が可能な医療機関を評価する施設基準です。

在宅診療支援診療所には(1)から(3)の区分があり、区分によって「往診料」の加算や「在宅時医学総合管理料」の算定点数が異なります。

在宅療養支援診療所(1)は「機能強化型在宅療養支援診療所(単独型)」、在宅療養支援診療所(2)は「機能強化型在宅療養支援診療所(連携型)」と呼ばれることもあります。

2024年診療報酬改定

2024年の診療報酬改定では、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年にむけて、地域包括ケアシステムの深化と推進が一つの軸として掲げられております。

在宅療養支援診療所においても、介護保険施設等と地域包括ケア病棟を持つ医療機関や在宅支援診療所の平時および急変時における連携の強化などに関する評価が見直されることとなります。

点数

在宅療養支援診療所は、区分に応じて「往診料」に係る加算等、在宅診療に関わる診療報酬の点数が変わります。

「在宅診療支援診療所」という診療報酬が存在するわけではありません。

(例)緊急往診加算の診療報酬点数

@ 在宅療養支援診療所(1)
  • 病床を有する場合:850点
  • 病床を有しない場合:750点
A 在宅療養支援診療所(2)
  • 病床を有する場合:850点
  • 病床を有しない場合:750点
B 在宅診療支援診療所(3)
  • 650点
C 在宅診療支援診療所以外の診療所
  • 325点

届出要件

施設基準比較表

在宅療養支援診療所(1)
※機能強化型(単独型)
在宅療養支援診療所(2)
※機能強化型(連携型)
在宅療養支援診療所(3)
在宅診療を担当する常勤医師 3名 3名
(連携医療機関内)
1名
24時間連絡を受ける体制
24時間往診可能な体制
24時間訪問看護体制
(訪問看護看護ステーションとの連携可)

(訪問看護看護ステーションとの連携可)

(訪問看護看護ステーションとの連携可)
緊急時の入院体制 有床診療所:自院
無床診療所:他院との連携可
他院との連携可 他院との連携可
緊急往診の実績 10件/年 連携医療機関内:10件/年
自院:4件/年
なし
看取り又は
15 歳未満の超重症児及び準超重症児に対する在宅医療
4件/年 連携医療機関内:4件/年
自院:2件/年
なし

≪在宅診療支援診療所(1)の施設基準≫

  • 在宅医療を担当する常勤の医師が3名以上配置されていること。
  • 当該診療所において、24時間連絡を受ける保険医又は看護職員をあらかじめ指定すること。
    また、緊急時の連絡先等を患者又はその看護を行う家族に対して説明の上、文書により提供していること。
  • 当該診療所において、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保していること。
  • 当該診療所において、又は別の保険医療機関若しくは訪問看護ステーションの看護師等との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の保険医の指示に基づき、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保していること。
  • 緊急時に居宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保していること。(無床診療所の場合は他の医療機関との連携可)
  • 過去1年間の緊急の往診の実績を 10 件以上有すること。
  • 過去1年間の在宅における看取りの実績を4件以上又は過去1年間の15歳未満の超重症児及び準超重症児に対する在宅医療の実績を4件以上有していること。
  • 市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において、在宅療養支援診療所以外の診療所及び介護保険施設等と連携し、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議又は病院若しくは介護保険施設等で実施される他職種連携に係る会議に出席して いることが望ましいこと。
  • 在宅療養移行加算を算定する診療所の往診体制及び連絡体制の構築に協力していることが望ましいこと。
  • 当該診療所において、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、適切な意思決定支援に関する指針を作成していること。

≪在宅診療支援診療所(2)の施設基準≫

  • 当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と併せて、在宅医療を担当する常勤の医師が3名以上配置されていること。
  • 当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と協力して、24時間連絡を受ける保険医又は看護職員をあらかじめ指定すること。
    また、緊急時の連絡先等を患者又はその看護を行う家族に対して説明の上、文書により提供していること。
  • 当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と協力して、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保していること。
  • 当該診療所又は当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関若しくは訪問看護ステーションの看護師等との連携により、患家の求めに応じて、24時間訪問看護の提供が 可能な体制を確保していること。
  • 当該診療所又は当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関において、緊急時に居宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保していること。(在宅支援連携体制を構築する医療機関がいずれも無床診療所の場合、他の医療機関との連携可)
  • 当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と併せて、過去1年間の緊急の往診の実績を10件以上有し、かつ、当該診療所において4件以上有すること。
  • 当該在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と併せて、過去1年間の在宅における看取りの実績を4件以上有していること。
    また、当該診療所において過去1年間の在宅 における看取りの実績を2件以上又は過去1年間の15歳未満の超重症児及び準超重症児 に対する在宅医療の実績を2件以上有すること。
  • 市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において、在宅療養支援診療所以外の診療所及び介護保険施設等と連携し、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議又は病院若しくは介護保険施設等で実施される他職種連携に係る会議に出席して いることが望ましいこと。
  • 在宅療養移行加算を算定する診療所の往診体制及び連絡体制の構築に協力していることが望ましいこと。
  • 当該診療所において、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、適切な意思決定支援に関する指針を作成していること。

≪在宅診療支援診療所(3)の施設基準≫

  • 当該診療所において、24時間連絡を受ける保険医又は看護職員をあらかじめ指定すること。
    また、緊急時の連絡先等を患者又はその看護を行う家族に対して説明の上、文書により提供していること。
  • 当該診療所において、又は別の保険医療機関の保険医との連携により、患家の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保していること。
  • 当該診療所において、又は別の保険医療機関若しくは訪問看護ステーションの看護師等との連携により、患家の求めに応じて、当該診療所の保険医の指示に基づき、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保していること。
  • 当該診療所において、又は別の保険医療機関との連携により、緊急時に居宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保していること。
  • 当該診療所において、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、適切な意思決定支援に関する指針を作成していること。

2024年の診療報酬改定で見直された観点

2024年の診療報酬改定で見直された観点は、以下の通りです。

介護保険施設との連携

医療機関と介護保険施設の適切な連携を推進する観点から、「介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことが望ましい」ことが施設基準へと追加されました。

24時間の往診体制の要件について

今回の改定では、医師少数区域及び医療資源の少ない地域等に配慮した評価の見直しがなされております。

在宅療養支援診療所においても、医療資源の少ない地域では、24時間の往診体制の要件について、入院中の患者以外の患者が看護師等といる場合に情報通信機器を用いた診療を実施できる体制を整備することで満たすとしています。

データ提出に関する要件の見直し

機能強化型の在宅療養支援診療所について、各年5月〜7月までの訪問診療の回数が一定数を超える場合は、データに基づく適切な評価を推進する観点から、次年の1月から在宅データ提出加算にかかる届出を行うことが要件に追加されました。

訪問栄養食事指導の推進

訪問栄養食事指導の推進を図る観点より、在宅療養支援診療所の要件が見直されることとなりました。

診療所の管理栄養士又は当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士との連携により、医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制を整備することが望ましい」という要件が新設されます。

関連する科目

開業・経営におけるポイント

在宅療養支援診療所の届出を行っていない医療機関でも、在宅診療を行うことは可能です。

在宅診療支援診療所の場合は算定できる診療報酬の点数が高くなるので、本格的な在宅診療を行う医療機関では、届出を検討するとよいでしょう。

また、在宅療養支援診療所の場合、在宅時医学総合管理料の届出を行うことで、機能強化加算の届出要件を満たすことができます。

届出を行うには、24時間対応可能な体制を整えることが必要です。

また、訪問看護ステーションや介護支援事業所との連携が必要となる可能性もあります。

ドクターの負担も大きくなるため、ご自身のライフプランと照らし合わせ、届出を検討してください。

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