医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算
【更新日】2025/02/25
かねてより、オンライン資格確認や電子処方箋のシステム導入など、医療DXが進められてきました。
今後も質の高い医療を提供すること、また、感染症などが起こった際に迅速な対応を行うことができるよう、医療DXが推進されており、2024年の診療報酬改定においても、焦点の一つとなっておりました。
こうした背景を踏まえ、「医療DX推進体制整備加算」の新設、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の見直しが発表されました。
医療DX推進体制整備加算とは
オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に活用できる体制を整備していること、また、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスを導入し、医療DXに対応する体制を確保していることを評価するものとなっております。
点数
マイナ保険証の利用率に応じて、評価が3段階に分かれています。
- 医療DX推進体制整備加算1:11点
- 医療DX推進体制整備加算2:10点
- 医療DX推進体制整備加算3:8点
施設基準
マイナ保険証の利用率は、適用時期の3月前の「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」(マイナ保険証の利用者数の合計÷レセプト枚数)を用いて算出します。
医療DX推進体制整備加算1:11点
- マイナンバーカード保険証の利用について、十分な実績(マイナ保険証利用率が30%以上)を有していること
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること
医療DX推進体制整備加算2:10点
- マイナンバーカード保険証の利用について、必要な実績(マイナ保険証利用率が20%以上)を有していること
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること
医療DX推進体制整備加算3:8点
- マイナンバーカード保険証の利用について、実績(マイナ保険証利用率が10%以上)を有していること
共通の施設基準
そのほか、以下の施設基準を満たす必要があります。
- (1)オンライン請求を行っていること。
- (2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。
- (3)医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。
- (4)電子処方箋を発行する体制を有していること。
- (5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。
- (6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること。
- (7)医療 DX 推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
- (8)(7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。
経過措置
また、経過措置として、以下も発表されております。
- 令和7年3月31日までの間に限り、電子処方箋を発行する体制を有しているものとみなす。
- 令和7年9月30日までの間に限り、電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有しているものとみなす。
- 令和7年5月31日までの間に限り、オンライン資格確認により取得した情報を活用している旨をウェブサイトに掲載しているものとみなす。
医療DX推進体制整備加算の見直し
令和7年4月から電子処方箋管理サービスへの登録の手間を評価する観点より、点数及び施設基準の見直しが行われることとなりました。
医療DX推進体制整備加算4〜6が新設されるほか、医療DX推進体制整備加算1〜3については、電子処方箋の導入が施設基準に加わり、マイナ保険証の利用率も変更となります。
点数と施設基準
令和7年4月より、以下の通りに変更されます。
医療DX推進体制整備加算1:12点
- 電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有していること
- マイナ保険証利用率が、45%以上であること
医療DX推進体制整備加算2:11点
- 電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有していること
- マイナ保険証利用率が、30%以上であること
医療DX推進体制整備加算3:10点
- 電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制(原則として院外処方を行う場合には電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行すること)を有していること
- マイナ保険証利用率が、15%以上であること
(小児科外来診療料を算定している医療機関であり、かつ前年(令和6年1月1日から同年12月31日まで)の延外来患者数のうち6歳未満の患者の割合が3割以上の医療機関においては、令和7年4月1日から 同年9月30日までの間に限り、「15%」とあるのは「12%」とする。)
医療DX推進体制整備加算4:10点(新設)
- マイナ保険証利用率が、45%以上であること
医療DX推進体制整備加算5:9点(新設)
- マイナ保険証利用率が、30%以上であること
医療DX推進体制整備加算6:8点(新設)
- マイナ保険証利用率が、15%以上であること
(小児科外来診療料を算定している医療機関であり、かつ前年(令和6年1月1日から同年12月31日まで)の延外来患者数のうち6歳未満の患者の割合が3割以上の医療機関においては、令和7年4月1日から 同年9月30日までの間に限り、「15%」とあるのは「12%」とする。)
マイナ保険証の利用率について
マイナ保険証の利用率については、以下の通りに設定されます。
利用率実績 | 令和6年10月〜 | 令和7年1月〜 |
---|---|---|
適用時期 | 令和7年1〜3月 | 令和7年4〜9月 |
医療DX推進体制整備加算1・4 | 30% | 45% |
医療DX推進体制整備加算2・5 | 20% | 30% |
医療DX推進体制整備加算3・6 | 10% | 15% |
令和7年10月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、附帯意見を踏まえ、本年7月を目途に検討される予定です。
参考
医療情報・システム基盤整備体制充実加算の見直し
オンライン資格確認等のシステム導入が原則義務化されたことを踏まえ、体制整備にかかる評価から、初診時などの診療情報・薬剤情報の取得・活用にかかる評価へと変更されることとなりました。
あわせて、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」から「医療情報取得加算」へと名称が変更されることとなります。
点数
評価の在り方の変化とともに、下記の通り、点数も変更となります。
初診時(月に1回に限る)
- マイナ保険証を利用しない場合:4点→3点
- マイナ保険証を利用した場合/他の医療機関から診療情報の提供を受けた場合:2点→1点
再診時(3ヶ月に1回に限る)
再診時の加算については、新設されることとなっております。
- マイナ保険証を利用しない場合:2点
- マイナ保険証を利用した場合/他の医療機関から診療情報の提供を受けた場合:1点
参考
- 厚生労働省:「個別改定項目について」
2024年12月からの評価見直し
2024年12月から、マイナ保険証の利用有無にかかわらず、施設基準等を満たす場合には、初診時・再診時ともに、点数が1点に変更となりました。