医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算
かねてより、オンライン資格確認や電子処方箋のシステム導入など、医療DXが進められてきました。
今後も質の高い医療を提供すること、また、感染症などが起こった際に迅速な対応を行うことができるよう、医療DXが推進されており、2024年の診療報酬改定においても、焦点の一つとなっておりました。
こうした背景を踏まえ、「医療DX推進体制整備加算」の新設、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の見直しが発表されました。
医療DX推進体制整備加算とは
オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に活用できる体制を整備していること、また、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスを導入し、医療DXに対応する体制を確保していることを評価するものとなっております。
点数
- 医療DX推進体制整備加算 8点(初診時に月1回に限り8点が算定可能)
施設基準
なお、算定にあたっては、以下の施設基準を満たす必要があります。
- (1)オンライン請求を行っていること。
- (2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。
- (3)医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。
- (4)電子処方箋を発行する体制を有していること。
- (5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。
- (6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること。
- (7)医療 DX 推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
- (8)(7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。
経過措置
また、経過措置として、以下も発表されております。
- (1)令和7年3月31日までの間に限り、電子処方箋を発行する体制を有しているものとみなす。
- (2)令和7年9月30日までの間に限り、電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有しているものとみなす。
- (3)マイナンバーカードの健康保険証利用における一定程度の実績の基準については、令和6年10月1日から適用する。
- (4)令和7年5月31日までの間に限り、オンライン資格確認により取得した情報を活用している旨をウェブサイトに掲載しているものとみなす。
上記(3)の一定程度の実績要件については、今後協議されることとなっております。
医療DX推進体制整備加算の見直し
2024年10月より、マイナ保険証の利用率に応じて、評価が3段階に分けられることとなりました。
あわせて、医療DX推進体制整備加算1、2には、「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること」の要件が追加されます。
点数と施設基準
2024年10月より、以下の通りに変更されます。
医療DX推進体制整備加算1:11点
- マイナンバーカード保険証の利用について、十分な実績を有していること
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること
医療DX推進体制整備加算2:10点
- マイナンバーカード保険証の利用について、必要な実績を有していること
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じること
医療DX推進体制整備加算3:8点
- マイナンバーカード保険証の利用について、実績を有していること
マイナ保険証の利用率について
算出方法
適用時期の3月前の「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」(マイナ保険証の利用者数の合計÷レセプト枚数)を用います。
ただし、2024年10月〜2025年1月までは適用時期の2月前の「オンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率」(マイナ保険証の利用件数÷オンライン資格確認等システムの利用件数)を用いることが可能です。
割合については、ポータルサイトにログインをして自院の利用率を調べるか、ポータルサイトから定期的に送付されるメールから確認できます。
利用率の設定
なお、マイナ保険証の利用率については、以下の通りに設定される予定となっています。
利用率実績 | 2024年7・8月〜 | 2024年10・11月〜 |
---|---|---|
適用時期 | 2024年10月〜 | 2025年1月〜 |
医療DX推進体制整備加算1 | 15% | 30% |
医療DX推進体制整備加算2 | 10% | 20% |
医療DX推進体制整備加算3 | 5% | 10% |
2025年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、附帯意見を踏まえ、本年末を目途に検討される予定です。
参考
医療情報・システム基盤整備体制充実加算の見直し
オンライン資格確認等のシステム導入が原則義務化されたことを踏まえ、体制整備にかかる評価から、初診時などの診療情報・薬剤情報の取得・活用にかかる評価へと変更されることとなりました。
あわせて、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」から「医療情報取得加算」へと名称が変更されることとなります。
点数
評価の在り方の変化とともに、下記の通り、点数も変更となります。
初診時(月に1回に限る)
- マイナ保険証を利用しない場合:4点→3点
- マイナ保険証を利用した場合/他の医療機関から診療情報の提供を受けた場合:2点→1点
再診時(3ヶ月に1回に限る)
再診時の加算については、新設されることとなっております。
- マイナ保険証を利用しない場合:2点
- マイナ保険証を利用した場合/他の医療機関から診療情報の提供を受けた場合:1点
参考
- 厚生労働省:「個別改定項目について」
2024年12月からの評価見直し
2024年12月から、マイナ保険証の利用有無にかかわらず、施設基準等を満たす場合には、初診時・再診時ともに、点数が1点に変更となる見込みです。