オンライン資格確認等システムの導入が23年度(令和5年4月)から原則義務化
やむを得ない事情があれば「4月導入義務」を延期可能に
23年度(令和5年4月)から原則義務化することとして進められているオンライン資格確認システムの導入ですが、医療機関側の都合ではない状況で遅れているケースが確認されており、中央社会保険医療協議会・総会で、オンライン資格確認等システムの導入義務について一定の経過措置を設けることが発表されました。
令和5年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の保険医療機関が経過措置の対象となります。
経過措置を受けるには地方厚生(支)局への届け出が必要
上記の対象要件を満たしたうえで、経過措置の適用を求める場合には、令和5年3月31日までに地方厚生(支)局への届け出が必要となります。
届出は、「医療機関等向けポータルサイト」上での提出が可能です。
届出方法の詳細につきましては、厚生労働省のホームページよりご確認ください。
参考
- 日本医師会:オンライン資格確認導入原則義務付けに係る経過措置について(令和5年1月31日現在)
- GemMed:オンライン資格確認等システムの導入義務化に経過措置を設け、加算を拡充、後発品使用体制加算なども増点 中医協総会
目次
システム導入義務化の掲示
厚生労働省は2022年5月25日(水)、社会保障審議会医療保険部会に、2023年度からマイナンバーカードの健康保険証利用に必要なシステムの導入を義務付ける案を掲示しました。
加えて、2022年10月には、2024年の秋ごろを目安に、健康保険証を原則廃止とし、マイナンバーカードと健康保険証を一元化する方針を明らかにしました。
今後ますますクリニックでのオンライン資格確認体制の整備、マイナ保険証読み取り機の導入が求められていきます。
現状、オンライン資格確認を導入しないことに対する罰則は厚生労働省から明記されていませんが、今後健康保険証が廃止されるなか、受診する患者様の対応には、導入が欠かせません。
後ほど詳しく説明しますが、顔認証付きカードリーダーを導入するにあたって受け取ることのできる補助金にも申請期限がありますので、早期段階から準備することが大切です。
参考
- 厚生労働省:オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
- 朝日新聞デジタル「マイナ保険証のシステム導入、23年度から医療機関に義務化へ」2022年5月25日
- 厚生労働省:オンライン資格確認 QA集
施設基準の廃止と新設、改正
8月10日の中央社会保険医療協議会総会にて、電子的保健医療情報活用加算を2022年9月末で廃止するとともに、10月1日から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の新設が答申されました。
医療情報・システム基盤整備体制充実加算についての詳細はこちら
療養担当規則の改正
保険医療機関及び保険医療養担当規則について、2023年4月1日施行で以下の内容の改正が行われる予定です。
- 1.患者がオンライン資格確認による確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならない。
- 2.紙レセプト請求を行っている医療機関は、オンライン資格確認導入の原則義務付けの例外とする。
- 3.オンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう、あらかじめ必要な体制を整備する。
掲示義務
また、中医協からの掲示では、オンライン資格確認にかかる体制に関する下記事項を、院内やホームページに掲示することも求められています。
- オンライン資格確認を行う体制を有していること。
- 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと。
参考
- 中医協:医療DXを推進し、医療機関・薬局において診療情報を取得・活用し質の高い医療を実施する体制の評価
- 中医協:保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)
- 中医協:医療 DX の基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け p.6[施設基準]第1の8 医療情報・システム基盤整備体制充実加算
オンライン資格確認の導入原則義務化に係る導入補助内容の見直し
顔認証付きカードリーダー提供台数 | その他の費用の補助内容 (消費税含む) |
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@ 令和3年4月〜 令和4年6月6日 |
1台無償提供 | 32.1万円を上限に補助 ※事業額の42.9万円を上限に、その3/4を補助 |
A 令和4年6月7日〜 | 1台無償提供 | 基準とする事業額42.9万円を上限に実費補助 |
※ その他の費用
- (1)マイナンバーカードの読取・資格確認等のソフトウェア・機器の導入
- (2)ネットワーク環境の整備
- (3)レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修等
なお、上記@の期間にカードリーダーを申し込んだ施設において、令和4年6月7日から令和5年1月末までに運用開始した施設については、別途の補助が実施されます(補助金交付済の施設を除く。別途の補助の内容は、@とAの差額とする)。
参考
顔認証付きカードリーダー導入スケジュール
日本医師会によれば導入するにあたって、遅くとも2022年の9月頃までの申込が望ましいとされています。
顔認証付きカードリーダーは受注生産となるため、クリニックに到着するまで少なくとも4カ月ほどの時間が必要となります。
また、クリニックに届いたからといって、すぐに使えるというわけではありません。システム事業者が直接クリニックを訪れ、作業しなければいけない場合もあります。
オンライン資格確認の導入補助を受けるには以下2つを満たすことが要件となっています。
- 2023年3月31日までに導入を完了
- 2023年6月30日までに申請
生産や改修が集中してしまい、オンライン資格確認の導入が間に合わなくなる可能性等を考慮すると、早い段階から導入に向けて準備をするのがよいでしょう。
参考
- 日本医師会:オンライン資格確認の進捗状況について
- 厚生労働省:オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き
カードリーダー設置進行の要請
さらに8月24日に、厚生労働省と三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)が合同で開催した「オンライン資格確認等システムに関するWEB説明」では「オンライン資格確認等システム導入に向けた顔認証付きカードリーダーの申し込み、システムベンダーとの契約を一刻も早く進めてほしい。」との強い要請も出されました。
参考
オンライン資格確認の顔認証付きカードリーダー比較
オンライン資格確認では患者さんがお持ちのマイナンバーカードを専用の顔認証機能付き機器で読み取る必要があります。
顔認証付きカードリーダー(5社)の比較とそれぞれの特徴をお伝えしていきます。詳しくはこちら