クリニック開業の選択肢〜新規開業と承継開業の違いを解説〜
【更新日】2025/02/27
クリニック開業を考えるなかで、新規開業と承継開業のどちらを選ぶべきか悩まれる先生も多いのではないでしょうか。
どちらの開業方法にもメリット・デメリットがあり、先生ご自身が開業を通じて成し遂げたいことや経営方針によって、適した選択肢は異なってきます。
ここでは、クリニック開業で悩まれている先生に向けて、新規開業と承継開業のそもそもの違いは何か、選ぶ際のポイントなどについて説明してまいります。
新規開業の場合

新規開業の場合、開業地の選定から建物の設計・内装、医療機器の導入、スタッフの採用・育成、経営計画など、すべての要素を自ら決めていく必要があります。
自由度が高く、理想の医療を実現できる魅力がある反面、すべてをゼロから構築するため、負担が大きく、一つひとつの選択が経営に大きな影響を与えるため、慎重な計画が欠かせません。
新規開業のメリット
- 診療内容や方針、開業場所やターゲット層などを自分で選ぶことができる
- 設備や内装を最新のものにでき、DX化ツールの導入も最適なかたちで設計できる
新規開業のデメリット
- 集患対策をしっかり行わないと知名度ゼロからのスタートで苦戦する場合がある
- 設備投資や内装費用が高額になりやすい
- スタッフ採用や教育に手間がかかる
新規開業が向いているケース
- 先生の理念に基づき、診療内容や方針を自由に決めたい場合
- 特定の専門領域を活かしたクリニックを開業したい場合 など
承継開業の場合

承継開業とは、既存のクリニックを引き継いで開業する方法です。
前院長が長年にわたって築いてきた患者基盤やスタッフ、地域との医療連携などを活用できるため、開業後すぐに安定した運営が見込めるのが大きな特徴です。
一方で、クリニックの評判や財務状況を正確に把握していないと、思わぬ負債などの問題が発生する可能性もあります。
したがって、承継前には、財務データやスタッフの雇用条件、設備の老朽化状況など細かく確認(デューデリジェンス)したうえで、自身の経営方針に適した環境かどうか見極めることが重要です。
承継開業のメリット
- 既存の患者様やスタッフをそのまま引き継ぐことができる
- 設備や内装を活用できる場合、初期投資を抑えることできる
- 地域の医療連携や薬局との連携がすでに確立されていることが多い
- 承継元が医療法人の場合、最初から医療法人でスタートできる
承継開業のデメリット
- 前院長の診療方針や経営スタイル、既存スタッフや患者様との相性が合わない可能性がある
- スタッフの退職金や経費など、引き継ぐ際に見えにくい負担が発生する可能性がある
- 設備の老朽化による修繕が必要となる場合がある
- 買取価格(のれん代)が高額になる可能性がある
承継開業が向いているケース
- 地域に根差した診療を継続し、安定した患者基盤のもとで経営を行いたい場合
- 開業後すぐに一定の患者数を確保し、収益を安定させたい場合
- 落下傘での開業難易度が高い科目で開業する場合
新規開業と承継開業のどちらを選ぶべき?
新規開業と承継開業のメリット・デメリットを踏まえたうえで、実際どちらを選ぶべきなのでしょうか。
もちろん、先生のお考えによっても変わってきますが、以下のポイントに着目して考えてみると良いでしょう。
開業を通じて成し遂げたいことを明確にする
まずは、先生ご自身が開業を通じて成し遂げたいことは何なのかを明確にしてみましょう。
先生の得意な分野で自由に経営をしていきたいのか、既存の基盤を活かしつつ段階的に変革していきたいかによって、向いている開業パターンは変わってきます。
また、どこまで自由度を求めるかも明確にすることが大切です。
開業にかかるコストを分析する

新規開業では設備投資が大きくなるため、金融機関からの借り入れ計画をしっかり立てる必要があります。
承継開業でも、買収費用等を考慮し、資金計画をしっかりと立てましょう。
特に医療機器や内装の老朽化が進んでいる場合は、追加投資が必要になることもありますので、事前に見積を取っておくと良いでしょう。
落下傘開業か否か
診療科目によっては、落下傘開業か否かは重要なポイントとなります。
落下傘開業で前勤務先からの患者様をある程度見込める場合は、新規開業先でも比較的スムーズに集患できる傾向にあります。
一方、患者基盤がない場合は、承継開業の方がリスクを抑えられるかもしれません。
地域の医療ニーズを考える

診療圏調査を行い、地域にどのような医療ニーズがあるのか把握することが大切です。
承継開業では、既存の患者層が自分の診療方針とマッチしているかも確認する必要があります。
また、承継前の診療実績や患者数の推移もチェックし、安定した経営が見込めるか分析しましょう。
最後に
ここまで、新規開業と承継開業について説明してまいりました。
それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが正解とは一概には言えません。
大切なのは、開業を通じて何を成し遂げたいか、診療理念や経営方針を明確にし、それにあった開業方法を選択することです。
FPサービスにご相談ください
クリニック開業に向けて準備を進めているなかで、疑問等が出てきたときは、専門家への相談を検討するのも1つです。
当社では、新規開業・継承開業それぞれの成功事例をもとに、先生の開業をサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。