【医院開業時の保険加入】タイミングと期限
クリニックの開業準備を進めているなかで、意外と見落としてしまいがちなのが、リスクマネジメントです。
すでに本サイトで開業医が入るべき保険について取り上げていますが、実際、いつまでに保険を検討し、いつまでに加入すべきかわからないという先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、開業を検討している先生、準備中の先生に向けて、保険加入のタイミングについて一つずつ説明してまいります。
これだけは抑えるべき保険
まずは、最低限抑えるべき保険は以下の通りです。
- 生命保険/団体信用生命保険
- 火災保険
- 医師賠償責任保険
- 店舗休業保険
- 収入保障保険/所得補償保険
ただ保険に加入すれば良いというわけではなく、必要となるタイミングに合わせて加入することが大切になります。
開業医が加入すべき各保険の詳細につきましては「【FP監修】開業医がリスクに備え加入すべき保険とは?」よりご確認ください。
医師の保険加入タイミングと期限
ここからは開業準備にあたって、必要となる保険加入のタイミングについて、順を追って説明してまいります。
開業前
まずは、先生ご自身が加入されている生命保険を見直すところから始まります。
必要な保障は確保したうえで、不要な保険は解約することが大切です。
無駄な保険を解約し、そのお金を貯蓄に回すことで、開業時の自己資金捻出につながります。
融資決定時
銀行融資のタイミングで、団体信用生命保険(団信)に加入する必要があります。
団体信用生命保険とは、ローン返済中、契約者(先生)が死亡もしくは高度障害になった際に、保険会社が代わりに残りのローンを支払い、完済となる保険です。
つまり、先生ご自身に万が一のことがあり、返済が難しくなったとしても、ご家族を守ることができるといえるでしょう。
多くの金融機関では、融資の際に、団体信用生命保険への加入を義務づけています。
賃貸借契約
物件を借りる際に、「借家人賠償責任保険」に加入するケースもあります。
借家人賠償責任保険とは、火災や水濡れなどといった偶然の事故によって、借りている物件に損害を与えてしまったときに、大家さんに対する損害賠償を補償するものです。
建物の一部が燃えてしまった、放水によって濡れてしまったなど損害を出してしまった部分を修理するにはかなりの費用がかかります。
借家人賠償責任保険では、このような万が一のことに備えることができます。
物件引き渡し時
クリニックの工事が完了し、物件が引き渡された時点で、クリニックの債務負担者は先生ご本人となります。
この時点で火災保険への加入が必要となります。
「まだ開業していないのになぜ火災保険に入らなきゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、開業していなくても何か問題が生じた場合、施設の責任者である先生が賠償しなくてはなりません。
始期に注意しましょう
なかには、「あらかじめ火災保険に加入している」という先生もいらっしゃるかもしれません。
ですが、火災保険の始期が開業日では、引き渡し後から開業時までに起こるかもしれないリスクに対応することはできません。
よって、引き渡し日から補償をしてもらえるよう、火災保険の始期を再度確認してみましょう。
勤務先退職時
勤務先の退職に伴い、社会保険から国民保険へと切り替わります。
国民保険では、傷病手当がありません。
したがって、生活費をカバーする生命保険が必要となります。
団体長期障害所得補償保険(GLTD)とは
そこで加入を検討するのが、「団体長期障害所得補償保険」(GLTD)と呼ばれる保険です。
一言で説明すると、病気やけがによって働けなくなった際に、返済をカバーしてくれるものになります。
万が一、先生が病気やケガによって医師として働けなくなった場合でも、ご家族が生活できるようにサポートすることができます。
開業時
クリニック開業は、先生ご自身の「事業開始」を意味します。
開業時には、下記の保険が必要となります。
医師賠償責任保険
仮にクリニックで行った医療行為により、「患者さまがけがをした」、「障害が残ってしまった」など万が一のことが起こったとします。
そうした場合に、クリニックが患者さまもしくは遺族に対し損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償してくれるものです。
また、特にご留意いただきたい、施設管理者としての賠償責任についてです。
建物・設備の管理上不備が原因で患者さんにケガをさせてしまった場合、施設管理者である先生に賠償責任が問われてしまいます。
勤務医時代に加入している医師賠償責任保険とは、補償対象が異なるため注意が必要です。
詳細は「開業医に必要な医師賠償責任保険:施設管理者としての補償」よりご確認ください。
店舗休業保険
火災保険には、財産補償と休業補償の2種類の補償があります。
「モノ」に生じた損害を補償する財産補償には、多くの開業医の先生が加入されているでしょう。
一方、注意していただきたいのが、休業補償に加入しているかということです。
クリニックが休診となれば、当然その間の売り上げはゼロということになります。
ですが、その間のスタッフの給与や家賃の支払い、事業借り入れの返済は引き続き行わなければなりません。
したがって、休診したとしても、それらの支払いが滞ってしまうことのないよう、休診時の売り上げ損失をカバーする火災保険への加入も必要となります。
詳細は、「開業医の火災保険:休業時の補償」よりご確認ください。
最後に
開業を準備していくなかで、コンセプト決めから場所探し、機器選定に融資、内装に採用から広告など多岐にわたりますが、上記のように外してはいけないタイミングで保険の検討と加入があります。
上記のように、「ここではこの保険がないと身を守れない」という時期があるため、しっかり余裕をもって検討し加入する必要があります。
ただ、加入すれば良いというわけでもなく、開業後や法人化後、家族構成が変わった場合などそのときに応じて、保険を見直すことが大切です。
こうした開業までのリスクマネジメントについて、事前に時期を見ておきつつ、適切な保険を提案できるパートナーがいると心強いでしょう。
FPサービスはファイナンシャルプランニングのプロです
弊社ではファイナンシャルプランニングのプロとして、開業を進めるにあたり必ずご加入されている保険の見直しをしております。
つい見落としがちになる保険の見直しですが、勤務医から開業医になるにあたって新しく出てくるリスクに対応するため、弊社では開業準備のなるべく早い段階から実施しております。
また弊社では医師のライフプランを考慮して、より長期的な資産形成のお手伝いもしております。
上記のような生命保険だけでなく、投資信託を活用しての資産形成アドバイスも行っておりますので、ご相談下さい。
先生の声
お茶の水甲状腺クリニック
宇留野 隆 先生
「ファイナンシャルプランナーとして、加入中のすべての保険を確認して、開業に向けて、新規加入、解約などの指示を頂け、こちらも安心材料になりました。」
宇留野 隆 先生の声はこちら
開業された先生の声一覧はこちら
医療法人社団 千空
そうだ耳鼻咽喉科クリニック
理事長 宗田 靖 先生
「特にFPサービスに頼んで良かったと感じたのは、開業後のリスクヘッジをファイナンシャルプランナーとしての立場からも行ってくれることです。開業医は自己責任でクリニックを経営していかなければなりません。ファイナンシャルプランニングの技術を持ったコンサルタントは、開業後に関しても頼もしい存在です。」
宗田 靖 先生の声はこちら
開業された先生の声一覧はこちら