クリニック開業数減少の背景とは
厚生労働省が実施している医療施設調査によると、無床診療所の新規開設数は減少傾向にあります。
2021年10月から1年の間に7,803施設が新規開設されましたが、翌年は5,392施設が新規開設となり、3割ほど減少しました。
この間、廃止された無床診療所は4,949施設で新規開業数とほぼ同数となっています。
昨今では、きちんとしたコンセプトなくしての開業は厳しい状況にあり、地域間の医療格差を減らすべく、新規開業規制の話も出てきています。
このようななかで、クリニック開業を取り巻く環境はどのように変化しているのでしょうか。
参考
- 厚生労働省「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告」
なぜクリニック開業数は減少しているのか?
クリニックの開業数が減少している原因として、いくつかの背景が挙げられます。
クリニック開業費用の高騰
テナント賃料の高騰に加え、クリニックの開業に必要な費用全体も増加しています。
医療機器や内装工事費用などの上昇によって、開業資金の負担がさらに大きくなっているのが現状です。
その結果、エビデンスを伴ったしっかりとした事業計画書が作成できず、銀行融資が下りなかった開業案件が増えたとの情報が銀行さんから寄せられています。
開業難易度の高まり
クリニック開業の難易度が以前より格段に高くなっています。
かつては開業すれば自然と患者が集まりましたが、現在ではそのような状況は大きく変わりました。
特に都市部では、クリニック同士の競争が激化しており、診療科目や地域ニーズに合わせた明確な戦略がなければ、経営が安定せず廃業に追い込まれる事例が増加しています。
さらに、質の高い医療を求める患者さんが増加しているなどといった時代背景も、開業を難しくしている要因の一つといえるでしょう。
物件確保の難化
コロナ禍では多くの業種で経営が不安定になり、テナント物件の入れ替わりが一時的に活発化しました。
しかし、最近ではその動きも落ち着き、特に都市部では診療科目やコンセプトに合った物件を確保するのが難しくなっています。
さらに、物価高騰などの影響でテナント賃料が上昇しており、要件を満たした物件を見つけるのが一層困難な状況となっています。
クリニック廃止が多い背景とは
これまでお伝えしたように、しっかりとした戦略を持たずに開業した結果、経営が行き詰まり廃業に至るケースも見られます。
開業医の高齢化
あわせて施設管理医師(院長)の高齢化に伴い、患者さんが減少し、70歳前後で閉院を選ぶケースも増えています。
診療報酬改定を通じて推進されている医療DXへの対応が難しいことも要因の一つです。
例えば紙カルテから電子カルテへの移行やオンライン資格確認への対応が難しいといったケースも見られます。
また、医療DX化に付随するシステムの導入を避けていては、結果的に競合に後れを取ることになり、患者数減少や経営難にもつながってしまいます。
一方で、こうした状況を逆手に取る形で、クリニックの継承を選ぶケースも増えています。
クリニック開業を成功させるには
以前は、薬局や医薬品卸の無料開業支援を利用し、モールで開業すれば問題ないという時代でした。
しかし、現在では「歯抜けモール」(開業医が撤退して空きが出たモール)となっていることも珍しくありません。
「ただより高いものはない」という言葉の通り、無料の開業支援では負け組になるリスクが大きくなっていることは間違いありません。
一方で、クリニック開業に特化した専門家を活用し、大成功を収めた事例もあります。なかには、過去に早期撤退ゼロを誇るコンサルティング会社も存在します。
こうした環境下でクリニック開業を成功させるには、診療科目や立地に合わせた明確なコンセプトの策定、経営戦略、集患対策など、多岐にわたる準備が必要です。
医療経営に精通したコンサルタントのサポートを得ながら、リスクを抑えながら着実にクリニック開業準備を進めることをお勧めいたします。
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