新規の開業規制〜医師の偏在対策〜

新規の開業規制〜医師の偏在対策〜

2024年6月21日、財政や社会改革の方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針2024 〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜」が閣議決定されました。

医療分野の改革に目を向けてみると、医療DXの推進、かかりつけ医機能の強化、医師数の適正化及び偏在是正などが掲げられています。

これから開業を検討する先生にとっては、偏在対策の一環として検討されている新規の開業規制が気になるという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、閣議決定された内容に基づき、医師数の適正化及び偏在対策について説明してまいります。

参考

対策推進の背景

医師数の適正化及び偏在対策推進の背景には、以下の要因が挙げられます。

診療所数の増加

まずは、診療所数の増加です。

厚生労働省が定めた「外来医師偏在指標」に基づき上位33.3%に該当する「外来医師多数区域」では、一定の取り組みが行われてきました。

ですが、実際のところ、診療所数は増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると、2023年時点で全国の無床診療所が99,451施設あるとされています。

あわせて、開業する医師が多いことからも、病院の勤務医不足も指摘されています。

参考

都市部と地方の偏在

次に、医療提供に地域差があるという点です。

厚生労働省の調査によると、2021年時点で、東京23区(特別区)の人口10万人あたりの無床診療所数が112.5施設であるのに対し、政令市は84.8施設、中核市は79.9施設となっており、地域によって医療機関数の差があることがわかります。

こうした状態が続いてしまうと、都市部では医師・診療所が過剰となる一方で、地方での不足が懸念されます。

医師の過剰問題

医師の過剰問題

2020年度の医学部定員を前提とした推計によると、2029年頃には医師需給が均衡となり、医師の供給が過剰となることが見込まれます。

医学部の定員数に目を向けてみると、仮に2024年の医学部定員を維持した場合、2050年には、約85人に1人が医学部に進学する計算となっており、医学部定員数についても見直す必要があるといえるでしょう。

補足
  • 需要ケース1:労働時間を週55時間に制限等≒年間720時間の時間外労働相当
  • 需要ケース2:労働時間を週60時間に制限等≒年間960時間の時間外労働相当
  • 需要ケース3:労働時間を週78.75時間に制限等≒年間1860時間の時間外労働相当
参考

医師数の適正化及び偏在対策の施策

『医療・介護サービスの提供体制等』の分野においては以下の方針が明記されました。

医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在の是正を図るため、医師確保計画を深化させるとともに、医師養成過程での地域枠の活用、大学病院からの医師の派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施等の必要な人材を確保するための取組、経済的インセンティブによる偏在是正、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策のパッケージを2024 年末までに策定する。

つまり、以下の項目が重要分野として挙げられました。

  • 医師養成過程での地域枠の活用
  • 大学病院からの医師の派遣
  • 総合的な診療能力を有する医師の育成
  • リカレント教育の実施等の必要な人材を確保
  • 経済的インセンティブによる偏在是正
  • 医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施

特に「経済的インセンティブによる偏在是正」はすでに開業されている先生方、これから開業される先生方にとって最も関心のある事項ではないでしょうか。

これらの施策の具体的な方針については、厚生労働省の医政局で実施される「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」にて検討が重ねられており、2024年末までに一定の方向性が発表される予定です。

参考

医学部定員の適正化

これらに加え、将来的な医学部定員の適正化についても言及されています。

人口減少に対応した医学部定員の適正化のため、2026年度医学部定員上限は2024年度の定員以下とし、今後の医師需給状況を踏まえて2027年度以降の適正化の検討を速やかに行うものとされました。

参考

おわりに

ここまで、医師の偏在問題及び対策について説明してまいりました。

開業を検討している先生にとって、これらの動向は、開業の決心にあたる要素の一つともなり得るでしょう。

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