医師のライフ(キャリア)プラン

キャリアプランの1つとして勤務医から開業医になる、医師が開業する選択をする場合。

ここでは開業医になったときのライフプランについて考察してみましょう。

医院開業された開業医のライフプランを参考例としてご紹介します。住宅購入しローンのある中で、お子さん2人がいらっしゃるとします。まずは医院開業を迎えますが、ここからは事業ローンとして借入の返済などがあります。加えて第一子の小学校の教育費もかかります。一方で配偶者には専従者給与の支給ができます。ここから医院経営を続けて、まずは医療法人化を目指します。法人化により可処分所得の確保を目指し、医療法人からの役員報酬という形でお子さんの教育費を捻出します。うまく医療法人の経費活用を行っていきましょう。その後順調に10数年医院経営を続けますと、お子さんも独立し先生も引退を考えるステージになります。その時から退職をイメージし、医療法人内に退職金を積み立てておきましょう。実際に医院を閉じる又は継承する際には医療法人から退職金を出し、それと公的年金を合わせて老後の生活を送ることになります。個人事業主になりますと教育費や住宅ローン、保険などの支出の捻出はなかなか難しいですが、医療法人化して法人を巧く利用し老後資金まで準備を進めましょう。

順風満帆に行けば、勤務医の実質年収の2倍以上の収入が得られる上に、収入とは別に経費を自由に使うことができるようになります。

働く時間も自分で決められ、年末年始、ゴールデンウイーク、夏休みは完全に休みです。

在宅医療をなさる先生でも、連携や合法的な委託で休みを取ることができます。

今や、開業医は昔の「町医者」ではありません。病院の殺生与奪の実権を持っています。

病院側は「紹介率」を上げる(開業医から患者さんの紹介をもらう)ことにしのぎを削っており、よほどの僻地でなければ、病院の選択は開業医と患者さんが握っています。

開業医のライフプラン

収入のゆとり

厚生労働省の統計は、1日6人しか外来が無いような診療所の所得も合算されているので、新規開業された医師の実収入が分かりません。

2007年までは、国税庁が所得番付を発表していたので、開業医の多くが掲載され、地方では半数が開業医という状況でした。統計データから見る開業医の年収についてはこちらのページをご覧ください。

近年の公式統計で参考になるものがありませんので、弊社クライアントの平均を見ていただきましょう。

個人開業医と医療法人では、実質所得が異なりますので、(実収入+図書費+学会関連費+交際費等)で表します。配偶者へも給与を払うので、それも足します。

おおよそ4,000万〜6,000万円と思ってください。

中には、子育てを大切にしたいとか先生ご自身や家族の事情で、可能な限り診療時間を短くしたいという個人開業のままで医療法人化されない医師を含めての実態です。

上を見ればきりがありませんが、勤務医の倍以上の収入があり、車が好きな医師は普通に高級車に乗られています。

教育費の心配がなくなることは、勤務医の世界と異なります。お子さん3人が私立の医学部を卒業された実例もあります。

医学部受験のための家庭教師や塾の費用が年間360万円〜420万円はかかりますが、どう計算しても余裕です。

時間が自分の自由になる

家族との時間を大切にするも良し、趣味の時間を増やすこともできます。

教育費はかかりますが、それを余裕で支出することができます。お子さん3人が私立の医学部を卒業された実例もあります。

老後の心配がなくなる

例外的な弊社のクライアントもお子さんが大きくなったり、先生やご家族の問題が無くなったりすると医療法人化されることが多くなります。

ずっと個人のままという先生もいらっしゃいます。

医療法人化すると退職金がもらえます。老後引退しようとなったとき、医療法人を閉鎖(または譲渡)して退職金を2億円〜3億円はもらえる上、退職金は受け取った金額の半分にしか課税されない等、ほとんど税金がかからないようにできています。

老後のお金をコツコツと貯金するのは勤務医さんだけ、開業したら、安い税率で医療法人に資金をプールし必要なお金だけ役員報酬として受け取り、配偶者やお子さん(理事になれる年齢は都道府県によって異なります)が理事報酬を受け取ればよいのです。

開業のリスク

開業にはリスクもありますが、そのほとんどは開業準備、開業戦略、生命保険と長期所得補償保険でカバーできます。

医療事故だって、医師賠償責任保険でカバーすることができます。どうしても心配な先生は医師の開業失敗事例をご参照ください。

避けられない人生5大支出

勤務医であっても開業医であっても、人生どうしてもいろいろと支出があるものです。

特に、以下のものは人生の5大支出として必ずと言っていいほどかかってきます。

  • 教育費
  • マイカー
  • 住宅ローン
  • 保険
  • 老後資金

これらの支出に対してどのように収入を確保し貯蓄をしていこうか、プランニングをしなくてはいけません。

今現在は年収が高く、またいつまでも働けるからなんとかなる・・・とお考えでも、5年後、10年後の収入と支出のイメージ、将来の貯蓄についてプランが出来ているでしょうか。

勤務医のこれから:余剰問題と収入減少

医師余剰

医師の先生方は既にご存知かもしれませんが、厚生労働省医師需給分科会の発表から、2028年には医師の余剰が始まるとされています。

これまで、日本の少子高齢化から医療需要が高まるとされ、医学部の人数枠を増加させ、より多くの医師を育てる政策がとられてきました。そもそもの医師の数がどんどん増えているということです。

しかし、日本の総人口というのはこれから減少していきます。人口と医師の数の対比でみると、比率として医師が多すぎるという結果になってしまうのです。

出典:医療従事者の需給に関する検討会 第35回 医師需給分科会
令和2年8月1日 資料1 令和2年医師需給推計の結果 p36 厚生労働省

医師の働き方改革

2024年4月から「医師の働き方改革」が始まります。

働き方改革が行われるなかで、一番注目度が高いのは、「時間外労働の上限規制」が加わることではないでしょうか。

時間外労働の上限規制

今まで、労働基準法の規制対象外だった医師ですが、2024年4月以降、下記の通り上限が設けられます。

A水準 B水準 C水準
対象 すべての医師 地域医療暫定特例水準 集中的技能向上水準
時間外労働
の条件
年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む) 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む) 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

出典:令和3年度 第1回医療政策研修会及び地域医療構想アドバイザー会議
医師の働き方改革について p2 厚生労働省

補足:水準について
  • A水準:一般の勤務医
  • B水準:救急医療など緊急性が高く、地域医療確保のために長時間労働が必要となる医師
  • C水準:特定の高度な技能の習得のために長時間修練する必要がある医師や、長時間集中的に経験を積む必要がある研修医・専攻医(初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医など)
勤務医の基準となるのはA水準

すべての勤務医はA水準、つまり、年960時間以下/月100時間未満の条件に基づいて働くことになります。

実際の働き方としての目安は、

  • 毎日約1時間の時間外労働
  • 当直は週1回
  • 年間休日は約80日となります。

つまり、医師の働き方改革によって、当直や残業によって収入を増やすことは難しくなっていきます。

収入の減少

医師が余剰していくにとどまらず、働き方改革などの影響から勤務時間の削減、つまり減収も予想されます。

また、一部の研修医制度では地域医療の過疎化を改善するために医師を地方派遣することを義務化しているところもあります。

地方勤務の方が当然都市部に比べて高い収入となりますが、将来は、収入の問題では無く、地方勤務しか選択肢が無いということも考えられます。

上がらない診療報酬

加えて、国の政策方針としても今後診療報酬が増加していくことも見込みがなく、診療から売り上げを伸ばしていくことも難しくなります。

勤務医は税金のコントロールが難しい

上記のような支出はあくまで先生の手取りからの捻出になります。

給与から税金を引いた手残りということです。この税金部分を少しでも低く抑えることができれば、支出に向けての手残りも増やすことはできますが、勤務医ではこの税金というもののコントロールがほとんど利きません。

勤務医と開業医の収益構造の違い

勤務医というのはサラリーマンと同様に、給与から税金が天引きされています。

勤務先が先生に代わって納付していますので、その税金をコントロールすることが難しく、支出に向けての手残りを増やすようなアクションが取れないのです。

上記のような支出が控えておりその準備をしなければならない中で、勤務医を取り巻く環境は今後非常に厳しくなっていきます。

税金に関わる選択肢が少ない勤務医を続けながらなんとか支出のための準備をしていくということは、それ自体にリスクが伴っていることも考えておきましょう。

開業医であれば、「経費」の活用が可能です。

勤務医の先生が税引き後の手残りからやりくりをする支出の一部を、開業医の先生は事業の経費として申請できます。

経費が増えれば、その分利益が減ります。利益が減ればその分課税所得も減り、税金を抑えることができるのです。

一方で開業医の先生の場合には事業の返済がありますので、返済もしっかりできるような収益が必要な点は注意が必要です。

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勝負は開業時点で70%決まってしまうのが現実です。

したがって、開業準備中の段階で、開業後の経営、先生ご自身の将来を見据えて取り組む必要があります。

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このまま勤務医を続けるとしてライフプランとして不安がある、開業したほうが良いのか分からない。様々な不安やお悩みがあるかと思います。

もちろん、現在の条件などによっては勤務医でいるというキャリアを選択する方が良い場合もありますので、その点踏まえて弊社コンサルタントに一度ご相談ください。

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弊社は社名にありますようにファイナンシャルプランの専門家でもあります。開業される先生にはしっかりとファイナンシャルプランニングを行い、適切な保険のご提案をしております。

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FPサービスで開業された先生の声

お茶の水甲状腺クリニック 宇留野 隆 先生

お茶の水甲状腺クリニック
宇留野 隆 先生

「ファイナンシャルプランナーとして、加入中のすべての保険を確認して、開業に向けて、新規加入、解約などの指示を頂け、こちらも安心材料になりました。」
宇留野 隆 先生の声はこちら
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そうだ耳鼻咽喉科クリニック 宗田 靖 先生

医療法人社団 千空
そうだ耳鼻咽喉科クリニック
理事長 宗田 靖 先生

「特にFPサービスに頼んで良かったと感じたのは、開業後のリスクヘッジをファイナンシャルプランナーとしての立場からも行ってくれることです。開業医は自己責任でクリニックを経営していかなければなりません。ファイナンシャルプランニングの技術を持ったコンサルタントは、開業後に関しても頼もしい存在です。」
宗田 靖 先生の声はこちら
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