運動器リハビリテーション料
運動器リハビリテーション料とは
患者に個別でのリハビリテーションを行う場合、管轄の厚生局へ施設基準の届出が必要です。
原則として、リハビリテーションの開始から150日以内に限り算定が可能です。
運動器リハビリテーション料には(T)から(V)の区分があり、算定できる点数が異なります。
対象患者
- 上・下肢の複合損傷、脊椎損傷による四肢麻痺その他の急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者
- 関節の変性疾患、関節の炎症性疾患その他の慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能及び日常生活能力の低下を来している患者
算定要件
- 定期的な機能検査等に基づいたリハビリテーション実施計画書の作成
- 患者又はその家族等に対するリハビリテーション実施計画書の内容説明
点数
- 運動器リハビリテーション料(T):185点/単位
- 運動器リハビリテーション料(U):170点/単位
- 運動器リハビリテーション料(V):85点/単位
運動器リハビリテーション料は20分を1単位として点数が定められており、患者1人につき1日6単位まで算定可能です。
運動器リハビリテーション料(U)の届出を行っている診療所が患者に対して40分のリハビリテーションを行った場合、340点が算定できます。
届出要件
運動器リハビリテーション料の取得要件は、届出を行う区分によって異なります。
面積要件
- 45u以上の機能訓練室
※(T)(U)(V)共通
人員要件
運動器リハビリテーション料(T)の人員基準
- 運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上勤務していること
運動器リハビリテーション料(U)の人員基準
- 運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士が2名以上勤務していること
運動器リハビリテーション料(V)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士又は常勤作業療法士がいずれか1名以上勤務していること
設備要件
運動器リハビリテーション料(T)の設備基準
- 訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具等
運動器リハビリテーション料(U)の設備基準
- 訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具等
運動器リハビリテーション料(V)の設備基準
- 歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具等
令和4年度の診療報酬改定
@対象患者の拡大
運動器リハビリテーションを行うにあたり、「糖尿病足病変」の患者さんも対象になることが明確化されました。
糖尿病足病変の患者さんに対するケアは、これまで透析クリニックにて行うことがほとんどでしたが、今後は整形外科でもリハビリテーション行うことができるようになります。
近隣に透析クリニックがある場合には、連携を検討してもよいかもしれません。
A標準的算定日数を超えてリハビリテーションを実施する場合
標準的算定日数(運動器リハビリテーションの場合は150日)を超えてリハビリテーションを行う場合、月に1回以上のFIM(機能的自立度評価法)測定が必須となりました。
(ただし、令和4年9月30日まで経過措置が設けられるため、実施しなくても算定は可能です)
B管轄厚生局への実績報告
1年間に運動器リハビリテーション料を算定した患者の人数及びFIM等について報告を行うことが義務付けられます。
Cリハビリテーション実施計画書 署名欄に関する緩和
4月以降、やむを得ない場合(患者本人の署名が困難で、家族が遠方に居住している等)に限り、リハビリテーション計画書への署名又は記名及び押印を省略してよいとされています。
限定的な緩和であるため、今まで通り署名又は記名・押印を行った方がよいでしょう。
関連する科目
開業・経営におけるポイント
診療所でリハビリテーションを行う場合は必須の施設基準です。
運動器リハビリテーション料(T)(U)と運動器リハビリテーション料(V)では必要な設備が異なりますが、運動器リハビリテーション料(V)を算定する場合でも、将来的な区分変更に備え開業時から運動器リハビリテーション料(U)に必要な設備を揃えておくのがよいでしょう。
また、常勤のリハビリ職員が多いほど診療報酬点数は高くなりますが、人件費とのバランスを考える必要があります。
運動器リハビリテーション(医療保険のリハビリ)を行う診療所で、通所リハビリテーション(介護保険のリハビリ)を行うことも可能です。
リハビリテーションを行う患者が増えてきた段階で、通所リハビリテーションを開始するのも選択肢の一つです。(通所リハビリテーションを開始するにあたっては、別途手続きが必要です)