クリニックの災害対策:リスクマネジメント

自然災害の多い国とされている日本。

令和6年1月に能登半島で起こった地震や令和2年7月豪雨など大きな災害もあり、現在でも、地震や台風、豪雨、火山の噴火など多くの災害が起こる危険性を秘めています。

気象庁がまとめている災害をもたらした気象事例をみても、毎年大きな被害を出す気象事例が複数起こっています。

そんな自然災害の多い中で、クリニックを開業された先生も様々な対策と対応、判断が求められます。

今回はクリニックの災害対策としてそのリスクマネジメントのお話をしていきます。

参考

大雨や大雪など先に予測できるもの

地震と違い、大雨や大雪については事前予報があり、ある程度の予測をすることができます。

これらは梅雨前線の停滞や台風の予報、大雪予報など、事前にアンテナを張っておくことである程度予測し、対策ができます。

気象庁は、テレビ、ラジオ、ウェブサイトなどを通じて、大雪に対する警戒や注意を呼びかけるために、大雨警報、大雪警報、洪水注意報などの情報を提供しています。

事前の、または素早い判断

ここで重要なのが、先生の事前判断です。

大雨や大雪が予想される場合には、クリニック運営について決断が必要になります。

例えば午前診療中に雪が降り始めてきた、雨が強くなってきた場合、午後の診療を臨時休診とすることもあります。

また明日は大荒れだという予報があれば前日のうちに休診を決めることもあります。

重要なのは早めに決断をしていくことです。

患者さんへの対応

足元の悪い中ですと患者さんもなかなか来院することはありませんが、休診になるならば予約している方へのキャンセルと再予約のご案内なども必要です。

休診に関わるご案内は、すぐに入口の掲示物、またホームページでの掲載をしましょう。

予約システム上もクローズにする、もしくは臨時休診であることを掲示するなど、関連業者さんの早急な対応も必要になります。

スタッフさんへの対応も大切

また、大切なのはスタッフさんへの対応です。

開業地や勤務されているスタッフさんの状況に寄りますが、スタッフさんとしても悪天候の中で無事に帰れるのかは不安です。

スタッフさんが電車での通勤をされている場合には、運行状況次第では帰宅困難となることもあります。

出勤についても同様です。

明日の天気が大荒れだというのに、そのままシフト通りに勤務するのか不明では不安に思われてしまいます。

勤務中のスタッフさんには帰宅のケアを、出勤していない方には通勤のケアを心がけ判断をしてあげましょう。

どうしようか迷い続けるよりも、一定の水準やトリガーを設けておき、その通りに行動するのが望ましいです。

地震などの予測できない災害への対応

予報がなく突然やってくる地震。

こちらは起きることの予想はできませんが、起きたときに向けての準備をすることはできます。

最初は小さい地震だと思ったら大きく揺れるということもありますので、地震を感じたらどのように動くのかなどあらかじめ決めておくことが重要です。

地震、震災への対策は起きたときの準備を徹底することが何よりも大切です。

施設の安全対策

地形や地盤の把握をし、山崩れや津波の危険性を把握しておきましょう。

また、テナントの場合には施設の耐震診断の確認も実施していると安心です。

クリニックの中では地震による医療設備や薬品棚などの落下防止をしておきましょう。

必需品の備蓄

医療機関の実情によって異なりますが、緊急時に備えておきます。

ライフラインが遮断された場合でも約3日分の水、食料、医薬品、医療用具、および他の必需品を備蓄する必要があります。

地震発生時の参集、防災訓練

地震発生の際には状況に合わせて避難するか、診療を継続するか判断します。

診療を行う場合には人員の確保が必要となりますので、スタッフの皆さんが集まれるかどうかの事前確認は大切です。

またその際には誰がどんな役割を担うかも決めておきましょう。

そのためにも計画の立案と防災訓練の実施が大切になります。

関係機関や患者さんと家族との連絡体制

震災時には電話などの連絡手段が絶たれてしまうことも想定されます。

自治体、地元消防署その他関係機関、患者さんご家族との連絡方法を決めておき、災害用伝言ダイヤルサービスなどの利用も事前に確認しておきます。

地域社会との協力連携の体制

震災時に応援協力を得るために、日頃から各関連機関や団体との連携体制を作っておきましょう。

防災マニュアルの作成

病院では自治体の防災計画に沿って防災マニュアルを策定しているところも多いですが、クリニックレベルでの防災マニュアル作成はあまり広まっていないようです。

クリニックにても、災害時の行動フローの確認をしましょう。

実際に震災が発生したときの為に、対応行動や方針をまとめたマニュアルを作成し周知することが重要です。

作成も大変ですが、周知浸透こそが非常に重要ですので注意しましょう。

「災害時のマニュアルなんてありましたっけ?」と言われないことが大切です。

スタッフさんは退職や入職が起こりますから、その際のフォローも必要です。

冷静な判断と行動を

災害が発生した場合の対応策として、クリニック内にいる患者さんを避難させるのは、身体の安全に直結する重要な対応です。

しかしながら、非常事態であるため、多くの人々が冷静に行動できるとは限りません。

防災マニュアルは行動のみを記すのではなく、行動指針の形でもあるべきです。

発生頻度の多い地震や火災にて、分かりやすい基準で、それぞれの置かれた状況での状況判断の基準を設けるなど、想定されるパターンごとに作成しましょう。

各種補償のための保険加入

ここまでは災害への対策という視点から紹介をしてきましたが、起きることを避けるのは不可能です。

起きてしまい損害を受けたことも想定した、保険の加入も検討事項となります。

保険金の支払い額や免責(先生の自己負担になる)についてもしっかりと確認しておきましょう。

よくあることですが、火災保険は地震保険ではありません。

火災保険に加入していても地震による損害は免責となることも多いですから補償対象範囲にも気を配りましょう。

災害によるモノの損害だけでなく、診療停止期間における休業の補償(店舗休業補償についてはこちら)にも気を付けなくてはいけません。

全てのリスクを保険加入にて移転はできませんから、

  • 事業継続基準
  • 利益確保基準
  • 保有限度基準
  • リスク保有

など、段階的にリスクを分けて考えるようにしましょう。

近年の災害では、事業が継続困難に陥ることも想定されます。

しっかりと保険を選別してリスクマネジメントを心がけることが大切です。

自然災害の多い日本ですから、クリニックにても日頃から災害に向けての対策を実施し、また災害時の対応についても確認をするようにしましょう。

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お茶の水甲状腺クリニック 宇留野 隆 先生

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