クリニック経営が上手くいかないときに見直したいポイント

クリニック経営が上手くいかないときに見直したいポイント

クリニック経営を取り囲む環境は年々厳しくなっており、昨今では、クリニックの新規開業を抑制するという案も出てきました。

厚生労働省のデータによると、2022年には7,803の無床診療所が開設している一方で、6,618の無床診療所が同年に廃止されています。

このように、クリニックの競争が厳しくなっているなかで、「せっかく開業したのに、経営が思ったよりうまくいっていない」とお悩みの先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、クリニック経営を行うなかで、上手くいかないと感じたときに、見直したいポイントを説明してまいります。

参考

経営が上手くいかない原因を分析する

まずは、事業計画が目標を下回る理由を正確に把握することが大切です。

ここでは、事業計画を下回ったときに考えられる原因の例を一部ご紹介します。

事業計画に無理がある

計画と実績が大きく乖離している場合、計画そのものに無理がある可能性があります。

診療単価と患者数の設定は適切か、無駄に発生している経費は無いかなど原因を探していくことが重要です。

特に、開業した後は、他院はどのような状況かなどの情報入ってこず、判断が難しい場合も多いのではないでしょうか。

このような場合は無理せず、適正な事業計画になっているか否かを医療に詳しい経営コンサルタントに見てもらうのが良いでしょう。

周辺環境の変化

新規開業のクリニックにとって、最大の課題は患者さんの獲得です。

例えば、近隣に同じ診療科の競合クリニックが開業した場合、新患獲得の競争はさらに激しくなります。

特にご自身のクリニックが開業したばかりという場合は、クリニックが地域に根付いていない段階で、新たな競合が現れることは、大きな打撃となるでしょう。

こうした場合は、継続的な集患対策が必要となってきます。

集患対策の見直し

クリニックを認知して受診してもらう、受診後またかかりたいと思えるクリニックにする必要があります。

まずは、クリニックの強みを明確にし、オンライン、オフラインともに広告全般を見直してみましょう。

また、受診後またかかりたいと思えるクリニックにするには、院長先生の専門性を活かし、患者さんへの分かりやすい説明やきめ細やかな対応なども欠かせません。

あわせて、病診・診診連携などを通じて患者さんを紹介してもらうルートを確保することも集患の一環です。

そのためには、待っているだけではなく自ら働きかけていく姿勢が重要になってきます。

スタッフの接遇

患者さん目線で対応できる優秀なスタッフがいるだけでクリニックの評判は変わります。

受付での対応、患者さんへの説明仕方など、スタッフの働き方一つひとつが、クリニックの評判に大きな影響を与えます。

スタッフの接遇は、Googleなどの口コミにも影響しやすく、悪い評価が目立ちやすいため注意が必要です。

こうしたリスクがあることを、スタッフ研修などを通じて理解してもらい、優秀なスタッフを育てていくことも大切です。

スタッフ数の適正化

あわせて、スタッフ数が適正かという点も確認しましょう。

スタッフが少ない場合は、業務が回らず悪循環を招き、サービス低下に繋がっているという場合もあります。

反対に、スタッフが多いと手が空く時間が多くなり、無駄に人件費がかかってしまいます。

適切な人員配置を考慮し、機器連携の見直しや医療DX化の推進、オペレーション自体の見直しを行うことで、効率化を図ることも有効です。

財務諸表を確認してみましょう

原因分析に加えて、クリニックの経営状況を把握するために、財務諸表を確認してみましょう。

具体的には、以下の3つの財務諸表があります。

  • 損益計算書:クリニックの収支(クリニックがどれだけのお金を稼ぎ、どれだけ使っているか)を表す
  • 貸借対照表:クリニックがどのような財産を持っているか、そして、その財産をどのようにして得ているかを表す
  • キャッシュフロー計算書:クリニックのお金の流れ(どこからお金が入ってきて、どこへ出て行っているか)を表す

事業計画と照らし合わせて財務諸表を分析することで、売上が少ないのか経費が多いのかなど、何が問題なのかが見えてきます。

顧問税理士に聞けば財務状況の説明はしてもらえますので、確認してみると良いでしょう。

あわせて電子カルテの情報をもとに、1回の診察にかかる平均金額や、患者さんが院内などで過ごす時間などまで、詳しく調べることでさらなる改善点が見えてくるかもしれません。

医療経営コンサルタントの活用

医療業界に特化した経営コンサルタントを活用することで、他院の成功事例やトレンドを踏まえた的確なアドバイスを受けることができます。

金銭的に事務長を雇う余裕がない場合でも、外部の専門家に相談することで解決の糸口が見つかることもあります。

税理士や社労士だけでなく、困ったときに頼りになる先があると、先生としても安心できるのではないでしょうか。

経営者ということを理解する

ここまで、クリニック経営がうまくいかないときに見なおしたいポイントについて説明してまいりました。

開業を選択したということは、経営者であるということも改めて理解する必要があります。

冒頭にもお伝えいたしましたが、現在は、「開業すれば自然と患者さんが来る」という時代ではなく、きちんとした戦略がなければ、クリニック経営を行っていくことは難しい時代にあります。

人を上手く使うというのも経営者の仕事です。

まずは身近なところから、既に開業している先輩医師に相談してみるのも良いでしょう。

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