ベースアップ評価料
ベースアップ評価料でお悩みの方はご相談ください
FPサービス株式会社では、ベースアップ評価料の届出・各スタッフさんの賃上げ計画作成など煩雑な事務作業の数々を全面サポートしております。
令和6年度の診療報酬改定にて新設された「外来・在宅ベースアップ評価料」についてわかりやすく解説します。
診療報酬改定における賃上げ推進
令和6年度の診療報酬改定のポイント内でもご説明いたしましたが、今回の診療報酬改定では、医療従事者の人材確保のため、賃上げの取り組みが焦点の一つとなっていました。
最終的には、40歳未満の勤務医や事務職員の賃上げのために初再診料引き上げが行われ、その他医療従事者の賃上げのために「ベースアップ評価料」が新設されました。
ベースアップ評価料とは
ベースアップ評価料は、それで得た診療報酬の全額を対象職員(医師、歯科医師を除く主として医療に従事する職員)の賃上げに使用することを条件に算定可能な診療報酬です。
ベースアップ評価料の対象
ここでいう「対象職員」とは、看護師や理学療法士などの専門職の他、看護助手や医療事務作業補助者(医療クラーク)等を指します。
なお、医療事務に関しては、「事務作業だけでなく、看護補助など患者のサポートを通じて医療に従事する業務を行う職員は、『その他医療に従事する職員』として対象職員に該当する」という指針の元、対象職員に含まれるかどうか判断する必要がありますので注意が必要です。
参考
- 日医on-line:「外来・在宅ベースアップ評価料と医療DX推進体制整備加算の届出のポイントを伝達」
ベースアップ評価料を算定するメリット
ベースアップ評価料を算定することで得られる診療報酬は、全額従業員の賃上げに充てなければなりません。
一見、医療機関側に利益がないように見えますが、算定することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
賃上げ促進税制を活用できる
賃上げ率が一定の基準を満たした場合、賃上げ促進税制の対象となり、賃上げ額の一部を税額控除することが可能になります。
参考
- 経済産業省:「賃上げに取り組む経営者の皆様へ」
他業界・他医療機関への人材流出を抑制できる
現在、医療業界は他業種と比べて、賃金水準が低いとされており、他業界への人材流出や流出に伴う医療機関の労働環境悪化が危惧されています。
ベースアップ評価料を算定しない場合、算定している医療機関に比べて、賃金水準が低くなり、ベースアップ評価料を算定している医療機関に医療従事者が流れてしまうといった現象が今後生じるかもしれません。
医療業界、そして自らのクリニックを守るためにも、ベースアップ評価料の算定を検討する必要があります。
ベースアップ評価料を算定するデメリット
一方、ベースアップ評価料を算定することによって、以下のようなデメリットも考えられます。
患者さんへの説明
ベースアップ評価料の算定によって、患者さんの負担額は増加してしまいます。
場合によっては、ベースアップ評価料の算定に関して、患者さんからの質問対応を行う必要が出てくる可能性もあります。
届出や実績報告対応による事務負担増加
ベースアップ評価料を算定するためには、厚生局への届出や賃上げ計画の作成、年度ごとの実績報告等、対応すべき事項がいくつもあります。
各従業員の賃上げ額決定については従業員に任せる訳にもいきません。
対応すべき事項が増えますので、その分事務負担が増加するといえます。
外来・在宅ベースアップ評価料(T)・(U)の点数
外来・在宅ベースアップ評価料(T)(1日につき)
- 1 初診時 6点
- 2 再診時・短期滞在手術等基本料1算定時 2点
- 3 訪問診療時
イ 同一建物居住者以外の場合 28点
ロ 同一建物居住者の場合 7点
「外来・在宅ベースアップ評価料(T)」を算定し、賃上げに充てる場合、対象職員の賃上げ率が1.2%に満たない医療機関については、1.2%の賃上げが最低限実現できるよう「外来・在宅ベースアップ評価料(U)」の算定が可能になります。
外来・在宅ベースアップ評価料(U)(1日につき)
なお、外来・在宅ベースアップ評価料(U)は8段階に分けられており、どの区分での算定になるのかをクリニックで試算したうえで届出を行います。
ベースアップ評価料計算支援ツール
厚生労働省は、ベースアップ評価料(U)の算定対象となるか、どの算定区分になるか、各従業員へどのように賃上げしたらよいかなどを試算するツールを公開しています。
詳細はこちら(厚生労働省「ベースアップ評価料について」)をご覧ください。
1 外来・在宅ベースアップ評価料(U)1
- イ 初診又は訪問診療を行った場合8点
- ロ 再診時 1点
2 外来・在宅ベースアップ評価料(U)2
- イ 初診又は訪問診療を行った場合 16点
- ロ 再診時 2点
〜
8 外来・在宅ベースアップ評価料(U)8
- イ 初診又は訪問診療を行った場合 64 点
- ロ 再診時等 8点
参考
賃上げの参考例
外来・在宅ベースアップ評価料については、前述の通り1.2%の賃上げ率を1つの基準としています。
月収 | +1.2%の昇給例 | +2.5%の昇給例 (令和6年度政府目標) |
---|---|---|
月収350,000 | 月収354,200 | 月収358,750 |
月収300,000 | 月収303,600 | 月収307,500 |
月収250,000 | 月収253,000 | 月収256,250 |
月収200,000 | 月収202,400 | 月収205,000 |
外来・在宅ベースアップ評価料の算定において特に重要な施設基準
外来・在宅ベースアップ評価料(T)
- 保険医療機関として外来医療又は在宅医療を実施していること。
- 対象職員が勤務していること。
- 「賃金改善計画書」及び「賃金改善実績報告書」を定期的に作成し、報告すること。
外来・在宅ベースアップ評価料(U)
- 入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料1を除く短期滞在手術等基本料を算定していないこと。
- ベースアップ評価料(T)のみ算定した場合、試算上対象職員の賃上げ率が1.2%に満たないこと。
- 毎年3、6、9、12月に試算をしなおし、区分に変更がある場合は区分変更の届出をすること。(この場合でも、区分変更の届出をする必要がない事例もある。)
- 「賃金改善計画書」及び「賃金改善実績報告書」を定期的に作成し、報告すること。
- 常勤換算で3名以上の賃上げ対象職員が勤務していること。
- 社会保険料診療等(保険診療、予防接種、介護保険給付等)に係る収入金額の合計が、総収入の80%を超えること。
ベースアップ評価料の届出・各スタッフさんの賃上げ計画作成などサポートします
ここまで、令和6年度診療報酬にて新設されました、「外来・在宅ベースアップ評価料」について説明してまいりました。
令和6年8月1日現在、東京都の保険医療機関において、「外来・在宅ベースアップ評価料」の届出をしているクリニックは全体の約25%となっており、その数はまだまだ少ないと言えます。
一方、弊社が普段経営支援に携わっているクリニック様のうち、実に70%以上ものクリニック様が、弊社のサポートのもと外来・在宅ベースアップ評価料の算定をすでに始めています。
現在までの届出等サポートの中で培ったノウハウをもとに、より多くのクリニック様をサポートさせていただきたいという思いから、外来・在宅ベースアップ評価料に特化したコンサルティングプランを新設しました。