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医師のための開業用語集
開業用語「試算表(月次決算)」
試算表とは、毎月の診療所の経営状態を把握するための会計資料のことです。
開業すれば医師も個人事業主となり、最低限の経営状態を把握する必要が出てきます。そこで、試算表を用いて診療所の毎月の経費を把握し、診療報酬の目標を設定していきます。
開業直後の診療所では、目標とする診療報酬の基準は以下のようになります。
(1)損益分岐点
(2)損益分岐点+返済元金
(3)損益分岐点+返済元金+毎月の生活費
診療報酬が(3)を越えれば一安心です。
まだ、税金の支払いなど考慮しなければならない点はありますが、地道な診療を続ければ達成できます。
利益が出ているかどうかは、損益計算書(診療報酬から経費を引いた計算書)を見れば分かります。
返済をしても資金が持つかどうかは、キャッシュフロー表を見れば分かるのですが、一般の税理士事務所はこれを作ってくれません。そこで、貸借対照表(診療所の毎月の借入れと資産の状況を表す計算書)の返済元金と現金預金の金額を見る必要があります。
毎月の返済に生活費を含めても現金預金が減少しないようであれば、診療報酬で返済や生活費を補っているということになり、安心できる水準といえます。
どれくらい患者様が来院すればその水準を超えるのかは、顧問税理士の方に聞いてみてください。
また、患者数の他にどれくらいの診療報酬であれば安心な水準なのかも意識する必要があります。
開業してしばらくの間は、借入金の返済があります。
返済は、利益(診療報酬から経費を引いた金額)から税金を除いた金額で行います。
毎月返済する元金は口座から出て行くものの、経費になるわけではありません。毎月の返済のうち利息は経費にできますが、借入金の返済元本は経費にはできないのです。
そのため、特に開業当初においては、会計資料では確かに利益が出ているのに、実際は資金がたまっている実感がないことがあるでしょう。これは利益と資金繰りを把握する感覚にまだ慣れていないためです。
初めは、どんな医師でも感じることです。特に利益が増えてきた時は税金の額も多くなり、さらに返済も残っている場合、お金はなかなか貯まらないのです。
気付かないうちに、ご自身の生活費やお小遣い(場合によっては奥様のお小遣い)も増えているということもあります。
たしかに、開業すれば書籍やガソリン代の一部が経費として扱え、交際費が使えるようになるので得した気分になります。しかし経費が使えるということは、勤務医時代と同じ収入・出費でも、税金の支払いが安くなるだけで、出費であることに変わりはないのです。
経費を抑えれば、利益が増えるのは当然です。
経費 = 勤務医時代の税金額 - 開業後の税金額
を基準として経費を決めるのも一つの方法です。