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ドクターサポート通信
Drサポート通信では、クリニック経営のヒントとなる情報をお届けしています。
助成金制度を活用したスタッフ雇用
若年層を中心に労働力の低下が指摘されている今、スタッフ不足で経営が行き詰まるのでは、と不安感を抱いているクリニック経営者が多いと聞きます。
医療業界全体が慢性的な人材不足にあり、加えてクリニックスタッフは、同じ場所での勤続年数が比較的短いのが現状です。
特に看護師などの有資格者は、転職先が豊富にあるため、長期に渡り継続して勤務する方が少ない傾向にあります。最近では、有資格者だけでなく、事務スタッフなども優秀な人材の確保が困難になってきています。
また、急な退職者が出た場合でも業務に支障をきたさないよう、可能であれば多少のゆとりを持った人員体制を取っておく必要があります。
スタッフ不足は、どこのクリニックでも早い段階から対策を講じる必要がある課題です。
スタッフを募集する際に、一般的にはハローワークや求人情報サイトなどを利用することが多いですが、「特定求職者雇用開発助成金」や「難治性疾患患者雇用開発助成金」といった制度を活用する方法もあります。
特定求職者雇用開発助成金
母子家庭の母親や、障害のある方、60歳〜65歳の高齢者などの方を、新たにハローワークの紹介により雇用した場合に、事業規模や障害の程度などに応じて、助成金が支給されます。
クリニックで重度障害者以外の障害のある方を、短時間勤務以外で雇用した場合には、半年に1回45万円が支給され、最長1年半(最高135万円)まで支給されます。
(参考URL
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html)
難治性疾患患者雇用開発助成金
悪性関節リウマチなど厚生労働省で定めている難治性疾患克服研究事業の対象疾患に罹患している人を雇用した場合に、この助成金の適用があります。
助成金は半年に1回45万円が支給され、最長1年半(最高135万円)まで支給されます。
(参考URL http://www.med.kyushu-u.ac.jp/nanbyou/center/joseikin.pdf)
これらの制度を利用し、障害のある方を雇用する際には、下記の点に気を付けましょう。
1.助成金の制度の内容や受給要件を事前によく確認する。
これらの制度は、ハローワークや適正な有料・無料職業紹介事業者等の紹介を通じてスタッフ募集を行う必要があります。
その他、それぞれの制度で個別の要件がありますので、詳細を確認しましょう。
2.クリニックの受け入れ体制を、ハード面とソフト面の両方から整えておきましょう。
車いすの方を受付スタッフとして雇用する場合は、ハード面としては、クリニック内の段差を解消しておくこと、ソフト面としては、他のスタッフへの説明を十分に行い、スタッフが障害のある方を特別視することなく、皆同じ目線で仕事ができる雰囲気づくりを行うことなどが挙げられます。
3.仕事の内容と賃金等の待遇を、予め明確に定めておきましょう。
元から勤めているスタッフ(健常者)の業務遂行レベルと、障害のある方に取り組んでもらう業務の遂行レベルとを同一に設定し、賃金水準も同一にしておく方が後々のトラブル回避に役立ちます。
両者の業務遂行能力が同じであるのに、障害の有無を理由に、賃金格差をつけることは差別につながりトラブルの原因になるからです。
4.万が一の事態に備え、かかりつけ医の連絡先等を事前に把握しておきましょう。
急な体調変化の時の対応方法等も含め、確認しておきましょう。
また体調の悪化を理由に退職せざるをえなくなった際に「障害を理由に解雇された」といった誤解が生じないよう、雇用契約を結ぶ際にその趣旨を十分に説明し、理解を得ておいた方が得策です。
同時に、どの様な事態になったら退職してもらうといった事柄(想定できる事柄)を事前に定めて合意しておくことも大切です。
受付事務を車椅子の方にお願いしたり、整形外科のクリニックであん摩マッサージ指圧師を雇用(障害者雇用)したりと、最近では、この様な助成金を活用しつつ、業務内容を工夫して、障害がありながら医療機関や介護事業所に勤務している人が着実に増加しています。
今回ご紹介した制度の活用も、スタッフ雇用を行う際の選択肢のひとつとして、クリニック経営にお役立ていただければ幸いです。






