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ドクターサポート通信

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問題のあるスタッフに上手に退職をすすめるには

勤務態度などが悪く、注意してもなかなか改善しないスタッフを辞めさせるかどうか。
一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
今回は実際にスタッフに辞めてもらう場合の方法と注意点についてお話します。


「解雇」と「退職勧奨による自主退職」

スタッフの退職には、「解雇」と「退職勧奨による自主退職」の2つがあります。

解雇
クリニック側から一方的に労働契約を解除すします。
解雇された事をスタッフが納得できずに、労働基準監督署に駆け込むケースもあり、対応を誤ると訴訟に発展するケースも考えられます。

退職勧奨による自主退職
本人の同意による退職が前提となるため、トラブルになるリスクは「解雇」に比べると低いと言えます。辞めさせたいスタッフがいる場合、できるだけ退職勧奨に持っていくようにし、当人が納得のいく上で、自ら辞めてもらうようにするのが得策です。


トラブル防止のための事前策

退職に関するトラブルを防止するためには、解雇の禁止事由などを定めた労働基準法などの法令を遵守することが大切です。しかしクリニックなど医療機関で実際トラブルとなるのは、スタッフに対する不適切な説明といったような、法令違反とは異なる原因が多くみられます。 解雇や退職勧奨をスムーズに行うためのポイントをご紹介しましょう。

試用期間の活用(試用期間中にスタッフの資質を見極める)
クリニックなど医療機関では、業務能力・協調性・コミュニケーション能力など院長や管理者が求める人材像が不明確な場合が珍しくありません。そのため、試用期間中に適格な判断を下すことができず、また問題点を見抜くことができずに、本採用後に苦労するケースが多くあります。求める人材像を明確にし、定期的に能力やスキルをチェックして適宜指導し、改善するかどうかを見極める手法を確立すべきでしょう。また、試用期間中において「不適格」と判断し不採用とする場合、その手続きは法的には解雇に相当することを肝に銘じておくことが大切です。判断基準としては、「勤務態度」「能力」「勤務成績」「協調性」「コミュニケーション能力」などが挙げられます。また基準に達しているかどうかを、なんとなくの目安ではなくきちんとした基準を作り評価できるようにしておくことも大切です。

本人に問題点を自覚させる
まずは問題行為を分析しましょう。指導の際に感情的にならずに、何が問題でそれによりクリニックにどんな影響があるのかなど客観的な事実を整理できるようにして、正しく伝えましょう。普段からこまめに指導して問題点を自覚させ、「このままでは辞めさせられるかもしれない」と心の準備をさせておくことが必要です。本人が問題点を充分に自覚していれば、「納得いかない」と反発してトラブルになる可能性は低くなります

問題行為を記録しておく
解雇や退職勧奨をする段階になった時、指導内容や改善の度合いなどの記録(問題点の根拠)に基づいて説明するために問題行為を記録しておきます。日々の指導事項等をノートに書き溜めておくことも有効です。問題行為を繰り返した時などは、始末書を取ることも有効でしょう。就業規則などに始末書のルールを規定する場合、懲戒処分(*1)のうち最も軽い「戒告」などの処分に該当するので、処分の対象となる行為を具体的に規定しておく必要があります。

伝え方の工夫(無用な反発を招かないように伝える)
「伝え方の工夫」については、一方的な否定になってしまわないようにすることが必要です。 「頑張ってくれたが……」「職業意識が高いことは認めるが……」といった前置きなどを入れ、スタッフの仕事に対して認めている部分があることを先に示してから本題に入るようにしましょう。

条件面で有利に取り計らう
退職時に条件面で有利に取り計らうということは、退職勧奨をスムーズに進めるために一般企業では良く取られる手法です。退職金に一定額を上乗せして支払ったり、消化しきれなかった有給休暇を買い取るなどの方法を取り、スタッフ側に有利な条件を提示して退職をしてもらいます。但し、一度特例を設けるとそれが前例となってしまいますので、過度に条件を有利にしない方が良いでしょう。労働基準法上の解雇の場合は、「少なくとも30日前に予告するか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う」ことが規定されているので、それに準じて処理を行いましょう。

クリニック側からの退職は、他のスタッフにも影響を与えることがあります。退職に至るまでの理由にもよりますが、院長や事務長が悪者にならないようにコンサルタントを上手に利用し、クリニック内にわだかまりが残らないようにすることもとても大切です。 また、人数が減った際の仕事の分担なども事前に把握し、よくスタッフの方とも相談しましょう。 あくまで今後より良い経営を行っていくための退職ですので、慎重に進めて下さい。

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