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ドクターサポート通信
Drサポート通信では、クリニック経営のヒントとなる情報をお届けしています。
クレーム増加の背景と対応
年々、患者様からのクレーム(苦情)に頭を痛めているクリニックが増えてきています。
患者様からのクレームの数が増え、その内容もエスカレートする一方にも関わらず、クリニック側の体制は旧態依然というケースが非常に多くみられます。
更に悪いことに、クリニックがクレームに弱いという点に目を付け、無理難題を突きつけてくるケースが、最近着実に増えています。患者様のクリニックに対するクレームが増加している理由は、いくつか考えられます。
患者様の権利意識が高まり
インフォームドコンセントの理解や浸透、医療番組や雑誌などマスメディアによる情報により、治療に対する知識が増え、権利意識が高揚し「患者様は医師の指示に黙って従うのでなく、対等の立場に立って発言していく」という意識や姿勢が目立つようになりました。
その結果、自分の疾患やそれに対する治療方法の説明に納得がいかないと、「説明不足だ」、「何か隠している」、「あの医者の言うことは信用がおけない、やぶ医者だ」などと主張する患者様が増えてきました。
相次ぐ医療事故報道などによる医療機関への不信感の高まり
ちょっとした不手際でも医療ミスを疑うケースや、医療技術や医学の進歩に過剰な期待をして、治療結果が思い通りにならないと現実を受け入れることができずに、クレームになってしまうケースがあります。
こうした背景すべてが必ずしも悪質なクレームになるわけではありません。
しかし、患者様からの執拗なクレームに耐えかねて、対応にあたった看護師などのスタッフが精神的に追い込まれて神経症になったり、退職していくケースも実際にあります。
クリニックはクレーム対応が緊急課題であるという認識と自覚をし、組織体制を整えることが不可欠です。
クレームの対応について
クレーム対応の基本は、クレームが発生したら、複数のスタッフで対応し「患者様の主張を徹底的に聴き」、対話に加えメモを取るなどして相手の主張や不満をしっかりと受け止め、患者様が抱える本当の不満を探り出すための努力を惜しまないことが大切です。
患者様の話を聴いたら、クリニック側は、その訴えに関して院内の当事者にヒアリングし、真偽や原因を究明し、対応策・解決策を検討しまとめます。
そして、これらの結果を迅速に患者様に提示します。
検討の結果、クリニックに落ち度があれば謝罪は必要ですが、無理難題な要求には応じないことが大切です。クレームが解決したら、同じようなクレームを受けないように、その内容を院内で共有し再発防止策を浸透させましょう。クレームを受けてから解決までの一連のプロセスを、予めマニュアル化し、組織全体で対応できるようにしておくことが望ましいです。
クレーム対応に関する主なチェックポイントは以下の通りです。
@数人で対応し、患者様とのやり取りは、メモなどで記録を取ること。
A患者様の話をさえぎらず、共感の意を示し徹底して傾聴すること。
B推論や状況で原因究明せず、客観的事実に基づいた真の原因究明をすること。
C患者様への回答は極力早めにし、不確かな回答は行わないこと。
D金銭の支払いなどについて、安易な回答や約束をしないこと。
E事実を確認したら、誤解を解くために十分な説明をすること。
F「できる」ことと「できない」ことの区別を明確にし、「できない」要求には応じないこと。
G執拗に同じ要求を繰り返す場合や、膠着状態に陥った場合には、直接交渉を打ち切ること。
H第三者の意見を聴き、主張に客観性を持たせること。
以前もDrサポート通信でクレーム対応については幾度かご紹介していますが、実際クリニックで浸透するまでに時間がかかるものです。いざという時にきちんとした対応が出来るように、スタッフに声かけをするなどして、繰り返し対策を確認し見直しをしていきましょう。