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ドクターサポート通信

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未収金が経営に及ぼす影響 前編

医療経営を取り巻く環境悪化の中で、窓口負担金未払いの増加は、最近一般にも注目されつつある問題です。四病院団体協議会など病院団体が中心となり加盟病院を対象とする実態調査が行われた結果、未払い金の合計額が、全国で年額375億円、また一施設当たり平均年額が716万円(約5,570 病院:2008年公表)に上ることが明らかになりました。

未収金の問題は悪化の一途をたどっています。
一時話題になった「消えた年金」の金額(約950億円)と比較しても、未収金額の大きさに驚かされます。(医療機関は医療費を自己負担しているという「大問題を抱えている」自覚をもつ必要があります。)

厚生労働省においても「医療機関の未収金問題に関する検討会」を立ち上げ、課題を整理したうえで解決に向けた方策を検討していますが、保険外診療など高額な治療を実施する診療所においては、高額の未収金が発生するなどのケースも少なくありません。
今回は、未収金の発生要因等の傾向をご紹介します。

一般的に診療所で発生する未収金は概ね少額であるケースが多い様です。
仮にわずか数百円の窓口負担金の未収金が発生したとします。
その場合、電話と郵便(封書)で督促すると、その時点で未収金と同額のコストがかかってしまいます。

そのため「少額の場合は回収しない」という診療所が多いのですが、未収金発生の頻度が高くなる程、経営を圧迫する要因になります。
現在、平均的な医療機関の医業収支率は約97%と言われており、100円の医業利益を捻出するためには、約5万円に値する保険診療を行わなければなりません。


糖尿病患者のヘモグロビンA1cで換算すると100人分の検査に匹敵します。
この様に少額の場合でも影響を及ぼし、さらに累積すると診療所経営に多大なるダメージを与えてしまいます。

窓口請求の未収金問題は、回収よりも発生させない対策がより重要なのです。
先に挙げた厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」において未払いの原因として議論されている項目は以下の様になります。(資料一部加筆修正)

  1. 会計時の所持金不足
  2. 治療内容の不満等による支払拒否
  3. 意図的な不払い
  4. 診療報酬算定変更や追加修正
  5. 第三者行為による支払い方法未決定
  6. 夜間・休日等時間外における会計体制の未整備(会計不可能)
  7. 待ち時間が長いことによる支払い前の帰宅
  8. 保険資格喪失後の受診
  9. 老人・公費負担割合変更後の保険証未提出による差額負担金の発生
  10. 生活保護受給患者の一部負担金連絡遅延
  11. 身よりなし死亡患者における債権者不明
  12. 会計窓口等での誤計算
  13. 患者住所・氏名等の虚偽申告や外国人受診等

この資料から、診療所の未収金は「診療所側」と「患者側」の2つの発生原因に分類できることが分かります。

診療所側の発生原因

  • 情報提供不足
    医療費に関する情報(高額検査・高額医薬品・医療材料など)や診療に関する情報(次回予定の検査内容伝達不足など)

  • タイムラグのある算定
    スタッフの理解不足(事後算定など)や診療報酬制度上の課題(2次検査を要する治療など)

患者側の発生原因

  • 所持金不足
    医療費あるいは診療に関する情報に起因するものや経済的事情に起因するもの

  • 支払い意思欠如
    診療所及び治療そのものへの不満の表れや常習的不払い

未収金の様々な原因をこうして大別してみました。
実際この分類を元に、対策を行っていかなければなりません。

次回、未収金発生の防止策を、発生源別にご紹介します。

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