クリニックの集団的個別指導とは?
厚生局は医療機関に対して「保険診療の取り扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させること」を目的に指導を行っています。
指導にもいくつか種類があり、ここでは集団的個別指導について取り上げていきます。
集団的個別指導とは?
集団的個別指導では、診療科目等の区分に応じて、レセプト1件当たりの平均点数が高い医療機関に対し、診療報酬の算定基準や不正請求に該当する行為などについて、講義形式等で指導が行われます。
健康保険法第73条に「保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない」と示されており、指導対象となった場合、指導を避けることはできません。
集団的個別指導の対象
以下2項目をどちらも満たす場合、集団的個別指導の対象となります。
- レセプト1件当たりの平均点数が、都道府県平均点数の一定割合を超えている場合(病院の場合1.1倍、診療所の場合1.2倍)
- 前年度及び前々年度に集団的個別指導又は個別指導を受けた保険医療機関等を除き、類型区分ごとの医療機関総数の概ね上位8%の範囲に当てはまる場合
類型区分とは?
診療所の場合、以下12区分に分類されます。
- @ 内科(下記A、Bの区分に該当するものを除き、呼吸器科、消化器科(胃腸科を含む。)、 循環器科、アレルギー科、リウマチ科を含む。)
- A 内科(下記Bの区分に該当するものを除き、在宅療養支援診療所に係る届出を行っているもの。)
- B 内科(主として人工透析を行うもの(内科以外で、主として人工透析を行うものを含む。))
- C 精神・神経科(神経内科、心療内科を含む。)
- D 小児科
- E 外科(呼吸器外科、心臓血管外科、脳神経外科、小児外科、こう門科、麻酔科を含む。)
- F 整形外科(理学療法科、リハビリテーション科、放射線科を含む。)
- G 皮膚科(形成外科、美容外科を含む。)
- H 泌尿器科(性病科を含む。)
- I 産婦人科(産科、婦人科を含む。)
- J 眼科
- K 耳鼻いんこう科(気管食道科を含む。)
参考
- 厚生労働省:「令和3年度 集団的個別指導(薬局)」
- 厚生労働省:「集団的個別指導及び個別指導の選定の概要について」
集団的個別指導と個別指導の違い
どちらも医療機関に対する指導ですが、対象や内容がやや異なってきます。
また、個別指導は、新規開設の医療機関を対象としたものと、既に開設している医療機関を対象としたものの2つに分類されます。
個別指導の対象
既に開設している医療機関を対象とした個別指導では、以下が個別指導の選定理由として挙げられています。
- 診療報酬請求に関する情報提供があった医療機関
- 個別指導を実施したが改善が見られない医療機関
- 集団的個別指導を受けた医療機関のうち、改善が見られない医療機関(翌年度の実績において、集団的個別指導を受けたグループ内の保険医療機関等の上位より概ね半数以上である医療機関)
参考
- 厚生労働省:「令和3年度 集団的個別指導(薬局)」
日頃からマネジメントを徹底することが大切です
ここまで、集団的個別指導について説明してまいりました。
集団的個別指導は、実施が定められているため、該当する場合は避けることができません。
したがって、日頃から診療報酬請求について注意を払い、適正な請求を行うことが大切です。
日々の診療内容を見直してみましょう
なかには、個別指導に呼ばれたくないという先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合は、日々の診療内容を見直してみるのも良いでしょう。