脳血管疾患等リハビリテーション料
脳血管疾患等リハビリテーション料とは
患者に個別でのリハビリテーションを行う場合、管轄の厚生局へ施設基準の届出が必要です。
原則として、リハビリテーションの開始から180日以内に限り算定が可能です。
脳血管疾患等リハビリテーション料には(T)から(V)の区分があり、算定できる点数が異なります。
脳梗塞等の脳血管疾患、パーキンソン病などの神経筋疾患の患者だけでなく、構音障害や言語発達遅滞といった聴覚・言語機能障害の患者に対するリハビリテーションも対象となります。
対象患者
- 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血その他の急性発症した脳血管疾患又はその手術後の患者
- 脳腫瘍、脳膿瘍、脊髄損傷、脊髄腫瘍その他の急性発症した中枢神経疾患又はその手術後の患者
- 多発性神経炎、多発性硬化症、末梢神経障害その他の神経疾患の患者
- パーキンソン病、脊髄小脳変性症その他の慢性の神経筋疾患の患者
- 失語症、失認及び失行症並びに高次脳機能障害の患者
- 難聴や人工内耳植込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を有する患者
- 顎・口腔の先天異常に伴う構音障害を有する患者
- 舌悪性腫瘍等の手術による構音障害を有する患者
- リハビリテーションを要する状態の患者であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能 力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの(ただし、心大血管疾患リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリ テーション料、障害児(者)リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料の対象患 者に該当するものを除く。)
算定要件
- 定期的な機能検査等に基づいたリハビリテーション実施計画書の作成
- 患者又はその家族等に対するリハビリテーション実施計画書の内容説明
点数
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(T):245点/単位
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(U):200点/単位
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(V):100点/単位
脳血管疾患等リハビリテーション料は20分を1単位として点数が定められており、患者1人につき1日6単位まで算定可能です。
脳血管疾患等リハビリテーション料(U)の届出を行っている診療所が患者に対して40分のリハビリテーションを行った場合、400点が算定できます。
届出要件
脳血管疾患等リハビリテーション料の取得要件は、届出を行う区分によって異なります。
面積要件
- 160u以上の機能訓練室 ※(T)の場合
- 45u以上の機能訓練室 ※(U)(V)の場合
人員要件
脳血管疾患等ハビリテーション料(T)の人員基準
- 専任の常勤医師が2名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士が5名以上勤務していること
- 専従の常勤作業療法士が3名以上勤務していること
- 専従の従事者が合わせて10名以上勤務していること
脳血管疾患等ハビリテーション料(U)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士及び専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上勤務していること
脳血管疾患等リハビリテーション料(V)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤理学療法士又は常勤作業療法士がいずれか1名以上勤務していること
設備要件
脳血管疾患等リハビリテーション料(T)の設備基準
- 歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、傾斜台、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具、各種装具(長・短下肢装具等)、家事用設備、各種日常生活動作用設備等
脳血管疾患等リハビリテーション料(U)の設備基準
- 歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、傾斜台、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具、各種装具(長・短下肢装具等)、家事用設備、各種日常生活動作用設備等
脳血管疾患等リハビリテーション料(V)の設備基準
- 歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具等
言語聴覚療法のみを行う場合の届出要件
面積要件
- 遮蔽等に配慮した専用の個別療法室(8u以上)
※(T)(U)(V)共通
人員要件
脳血管疾患等ハビリテーション料(T)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤言語聴覚士が3名以上勤務していること
脳血管疾患等ハビリテーション料(U)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤言語聴覚士が2名以上勤務していること
脳血管疾患等リハビリテーション料(V)の人員基準
- 専任の常勤医師が1名以上勤務していること
- 専従の常勤言語聴覚士が1名以上勤務していること
設備要件
- 聴力検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム等
※(T)(U)(V)共通
令和4年度の診療報酬改定
@標準的算定日数を超えてリハビリテーションを実施する場合
標準的算定日数(運動器リハビリテーションの場合は150日)を超えてリハビリテーションを行う場合、月に1回以上のFIM(機能的自立度評価法)測定が必須となりました。
(ただし、令和4年9月30日まで経過措置が設けられるため、実施しなくても算定は可能です)
A管轄厚生局への実績報告
1年間に運動器リハビリテーション料を算定した患者の人数及びFIM等について報告を行うことが義務付けられます。
Bリハビリテーション実施計画書 署名欄に関する緩和
4月以降、やむを得ない場合(患者本人の署名が困難で、家族が遠方に居住している等)に限り、リハビリテーション計画書への署名又は記名及び押印を省略してよいとされています。
限定的な緩和であるため、今まで通り署名又は記名・押印を行った方がよいでしょう。
関連する科目
- 脳神経内科
- リハビリテーション科
- 整形外科
- 耳鼻咽喉科
開業・経営におけるポイント
脳神経内科でリハビリテーションを行う場合は必須の施設基準です。
脳血管疾患等リハビリテーション料(T)の場合、160u以上の機能訓練室が必要です。
(T)の算定を目指す場合には、設計の段階から考慮しなければならないため、注意が必要です。
医師1名で開業をする際には、脳血管疾患等リハビリテーション(U)または(V)が算定できるような機能訓練室の面積・リハビリ職員採用を検討すれば十分でしょう。
また、常勤のリハビリ職員が多いほど診療報酬点数は高くなりますが、人件費とのバランスを考える必要があります。
脳血管疾患等リハビリテーション(医療保険のリハビリ)を行う診療所で、通所リハビリテーション(介護保険のリハビリ)を行うことも可能です。
リハビリテーションを行う患者が増えてきた段階で、通所リハビリテーションを開始するのも選択肢の一つです。(通所リハビリテーションを開始するにあたっては、別途手続きが必要です)