クリニックにおける自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)の選び方
〜違いの比較やメリットなどのポイントを解説〜

新型コロナウイルス感染症拡大以降、医療機関においても、自動精算機や自動釣銭機(セルフレジ)を導入するところが増えてきています。

ここでは、これから開業される先生・既に開業されている先生に向けて、自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)の比較から、導入のメリット、導入時のポイントについて説明してまいります。

自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)の比較

自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)は、似た名称ですがこの2つは何が異なるのでしょうか。

まずは、より理解しやすくするために、クリニック受付の会計業務を以下の3つに分類してみます。

  • @ お会計の入力
  • A 釣り銭の計算
  • B 釣り銭の受け渡し

では、自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)は、これらのどの業務を担うことができるのか解説してまいります。

自動精算機

自動精算機は@〜Bの会計業務をすべて担うことができます。

患者様が診察券を端末にスキャンすると、患者様ごとのお会計金額が画面上に表示され、そのままお支払していただくことができます。

会計業務を機器に一任することができるため、受付スタッフの負担を減らしたい、お会計の待ち時間を短縮したいなどのお悩みの解消につながるでしょう。

自動釣銭機(セルフレジ)

一方で、自動釣銭機(セルフレジ)は、AとBを担う機器になります。

お会計の入力は、受付のスタッフが行い、釣り銭の計算・受け渡しは機器が行います。

金銭授受のみを行うセルフレジのイメージです。

金銭授受のミスを減らしたい、レジ締め作業を効率化させたいなどといったお悩みを解消することができます。

比較

2つの違いをまとめると以下のようになります。

自動精算機 自動釣銭機(セルフレジ)
@ お会計の入力 ×
A 釣り銭の計算
B 釣り銭の受け渡し

自動精算機を導入した場合のメリット

患者様の待ち時間短縮

患者様のクレームにつながりやすいのは、診察が終わってからの待ち時間といわれています。

患者様は診察が終わると、たった5分でも「待たされている」と感じてしまいます。

自動精算機を導入することによって、お会計にかかる時間を短縮することができ、患者様のクリニック滞在時間を削減することができます。

また、スタッフにとっても、会計業務に充てる時間を大幅に削減することができるため、会計業務に割いていた時間を患者様の対応や他の業務に充てることができます。

こうした点は、効率化に加えて、患者様の満足度向上にもつながるでしょう。

感染症対策

会計時に患者様と接する機会が減るため、感染症対策にも有用であるといえます。

新型コロナウイルスが終息したとしても、インフルエンザシーズンなど、引き続きクリニックの感染症対策は求められるでしょう。

自動精算機を導入した場合のデメリット

マイナスな印象を与える場合もある

患者様のなかには、自動精算機に苦手意識や抵抗感を抱いている方もいらっしゃいます。

特にご高齢の方やデジタル端末に慣れていない方にとっては、操作方法がわからずストレスになることもあります。

この場合は、スタッフの方が、操作方法を教えるなどのフォローが必要となります。

導入費用が高い

自動精算機の相場は約200〜450万円といわれており、自動釣銭機(セルフレジ)と比較すると、会計業務の担う範囲が広い分、価格も高くなってしまいます。

後ほどご説明いたしますが、補助金や助成金を活用することが大切になります。

自動釣銭機(セルフレジ)を導入した場合のメリット

金銭授受時のミスを防止できる

1番のメリットは、打ち間違いや釣り銭の渡し間違いなどのミスを防止することでしょう。

自動釣銭機(セルフレジ)では、患者様から預かったお金を自動で計算してくれるため、スタッフの負担軽減にもつながります。

金銭授受のミスは、患者様からの不信感、クレームにつながる可能性もあるため、これらを改善することができる点は、大きなメリットといえるでしょう。

導入コストが自動精算機と比較して安い

自動釣銭機(セルフレジ)は約30〜100万円が相場といわれています。

釣銭機内に収納できる金額やスピードなどの性能によって、価格は変わってきますが、自動精算機と比較すると、導入しやすいといえるのではないでしょうか。

自動釣銭機(セルフレジ)を導入した場合のデメリット

お会計の入力はスタッフが行わなければならない

自動精算機と比較した際のデメリットとして挙げられるのが、お会計の入力はスタッフの方が行う必要があるという点です。

導入によって得られる労働時間の削減もかなり限定的なため、導入コストと見合うか確認する必要があります。

ご自身のクリニックに必要か見極めるポイント

では、さまざまなメーカーがあるなかで、クリニックに導入するとなった場合、どのような点に気を付ける必要があるでしょうか。

導入の目的を明確にする

そもそも、導入によってどのような課題や目的を達成していきたいのかを明確にすることが大切です。

例えば、「クリニックの会計業務を軽減させたい」、「金銭の受け渡しだけ自動化したい」など、クリニックによって、機器に求める点が異なってきます。

操作性は十分か

クリニックには、さまざまな年代層の方がいらっしゃいます。

都市型開業か郊外型開業かによっても、患者様の年齢層が変わってきますので、患者様のターゲット層を確認し、その方々が簡単に操作できるか見極める必要があります。

お会計の度に、スタッフが使い方を説明していては、有人のお会計と変わりありません。

したがって、操作性については、前もって確認しておくと良いでしょう。

加えて、スタッフの方が簡単に操作できるかという点も重要になります。

例えば、スタッフの方が患者様に質問されても答えられないなどの状況では、患者様からのクレームにつながりかねません。

患者様だけでなく、スタッフからみた操作性も確認する必要があります。

決済方法は何があるか

近年、クレジットカードやコード決済など、キャッシュレス化が日本全体で加速しています。

一方で、消費全体と比較すると医療機関におけるキャッシュレス普及状況はまだ低いことが明らかになっています。

こうした背景もふまえて、現在、経済産業省主導のもと、医療機関でもキャッシュレス化を推進する取り組みを実施しています。

患者様の利便性を高めるために、現金以外にどのような決済手段があるかまで確認しておくことも重要です。

参考

機器のサイズを確認する

受付に置くことのできるものもあれば、床から設置するものなど、サイズもさまざまです。

新規開院の場合であれば、設置できるサイズを見越した内装設計が必要となります。

また、既に開院されているのであれば、どこに設置するかも踏まえてサイズはあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

見合った価格か

電子カルテとの連携やキャッシュレス決済などの対応によって、追加費用が発生することがあります。

また、メンテナンスやキャッシュレス決済時の手数料など、ランニングコストも発生します。

これらの費用も踏まえて、患者様お一人あたりの診療単価と見合った価格であるかなど考慮する必要があります。

初期費用を抑えるには

IT導入補助金などの補助金や助成金を活用できるか確認しておくと良いでしょう。

日本医師会では、日本医師会員向けに、特別手数料・価格にて決済サービスを提供しています。

また、機器によっては、リースという選択肢もあります。

条件を確認しつつ、比較検討することが大切です。

参考

メリットなどを考慮したうえで、導入を検討しましょう

ここまで、自動精算機と自動釣銭機(セルフレジ)の比較から、導入のメリット、選択のポイントなどをお伝えしてきました。

改善したい課題や目的、メリットなどを確認したうえで、ご自身のクリニックに必要か見極めることが大切です。

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