クリニックの防犯対策
昨今、クリニックが侵入や窃盗の被害を受ける事例がいくつか見られています。
あるクリニックでは、深夜に男性2人が通用口から侵入し、現金53万円などが盗まれる事例がありました。
これから開業を迎える先生、また既に開業している先生、ご自身のクリニックの防犯対策は万全でしょうか。
ここでは、クリニックの防犯対策を強化していくために、いくつかのポイントをお伝えしてまいります。
また、実際にトラブルが発生した際、どのような対応が必要になるのかについても説明してまいります。
クリニックが防犯対策を強化すべき理由
外部からの侵入や窃盗の防止
クリニックには、お子さまから高齢の方まで幅広い年代のさまざまな患者さまがいらっしゃいます。
「患者さまと何かトラブルになってしまった」といった場合などに、防犯カメラの映像が役に立つことがあります。
例えば、受付に防犯カメラの設置を行っていれば、患者さまからの行き過ぎたクレームや嫌がらせ行為の証拠につながることもあるため、早急な解決につながるでしょう。
また、警備会社の利用や防犯カメラの設置など行うことで、犯罪を起こさせない環境をつくることも大切です。
未然に被害を防止することは、クリニックの信頼感にもつながるでしょう。
スタッフによる犯罪を未然に防ぐ
クリニックを頻繁に出入りするのは、先生と患者さまだけではありません。
クリニックで働くスタッフや、業者のスタッフも頻繁に出入りをしています。
残念ながら、こうした内部の人間による犯行の可能性もゼロではありません。
クリニックの防犯対策をしっかり行うことで、こうした点も未然に防ぐことができます。
スタッフを守るという観点でも必要な防犯対策
また、スタッフを守るという観点からも、防犯カメラの設置は理想といえるでしょう。
例えば、異物混入やカルテの改ざんなどが発生した場合、実際に行っていなくても、真っ先に疑われてしまうのは、クリニックで働くスタッフです。
スタッフを守るため、またスタッフに犯罪を行わせないためにも、防犯カメラの設置は検討すると良いでしょう。
どういった対策がある?
では、実際にどのような対策があるのでしょうか。
警備会社の利用・防犯カメラの設置
開業準備を進めていくなかで、警備会社の選定・利用も大切な工程の一つです。
時期として、内装工事着工後には、警備会社を決定するようにしましょう。
警備会社については自由に決定できる場合と、入居するテナントビルによって指定がある場合があります。
内装という財産を守ること、そして医療機器搬入までに警備を開始する必要があるため、引渡しの時点で施工が完了しているのが、理想的なスケジュールです。
開業の1ヶ月前には、内装工事が完了していると良いでしょう。
開業が近づき、先生も忙しくなってくるタイミングかと思いますが、警備会社の決定は忘れずに行う必要があります。
防犯対策マニュアルの策定
万が一、トラブルが起こってしまった際、慌てないよう、マニュアルを作成しておくのも一つです。
例えば、トラブルが起こった際、どのように周りに伝えるか、スタッフの役割分担など事前に決めておくと良いでしょう。
また、ただマニュアルを作成して終わりではなく、トラブル発生時の対応などの周知を徹底し、スタッフの防犯に対する意識を高めることも大切です。
参考
セキュリティ対策
これまで、強盗やトラブルなど、目に見える被害について説明してまいりました。
ただ、昨今では、サーバーやパソコンにつながっているネットワークを通じて、システムの破壊やデータの窃盗を行う「サイバー攻撃」などの被害も多くみられます。
特に、医療機関を狙ったサイバー攻撃も増加しており、電子カルテが使えなくなってしまったなどの被害も見られています。
ご自身のクリニックのセキュリティ対策は十分か見直してみる、また、これから開業を迎える先生は、セキュリティ対策も十分に検討する必要があります。
実際に被害に遭ってしまったら?
このように万全に対策を行っていても、被害に遭う可能性はないと断言はできません。
実際に被害に遭ったときは、どのように対応していくのが良いのでしょうか。
落ち着いて行動しましょう
1番大切なのは、先生、スタッフ、患者さまの身の安全です。
まずは、身の安全を確保し、警察に通報します。
また、現場の状態を保存しておくためにも、むやみに触らないようにしてください。
被害を確認した後は、盗難届や被害届などを提出しましょう。
加入している火災保険に付帯されている特約で補償される可能性もあるため、保険会社に伝え、必要な手続きを取ります。
保険金を請求するには、警察の受理番号も必要となるため、あらかじめ控えておくようにしましょう。
防犯対策を見直してみましょう
開業準備を進めているなかで、意外と見落としてしまいがちなのが、リスクマネジメントです。
開業後、先生やスタッフ、患者さまが安心して過ごすことのできるクリニックを作っていくためにも、必要な防犯対策を見極め、検討していく必要があります。