【2026年】精神科・心療内科の開業資金・自己資金・年収
- クリニック開業
- クリニック開業資金
目次
精神科・心療内科クリニックの開業資金
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 土地・建物 | 約1,000万円〜 |
| 内装費用 | 約1,500万円〜 |
| 設備 | 約400万円〜 ・電子カルテ ・レジスター(自動釣銭機) ・コピー複合機(家庭用) ・診察用ベッドなど |
| 運転資金 | 約2,000万円〜 |
精神科・心療内科の開業資金は、他の診療科と比較して最も少なく済む傾向があります。
これは、高額な医療機器を必要としないことなどが理由として挙げられます。
また、臨床心理士などの専門職スタッフの雇用は、診療の質を高める上で重要ですが、非常勤での雇用が多い傾向にあり、看護師などと比べて給与水準も比較的抑えられるため、開業時の人件費を調整しやすい点も特徴のひとつです。
自己資金がなくても開業は可能?
上記の開業資金は、先生が全額自己資金として用意するものではございません。
テナント開業はもちろん、戸建て開業でも自己資金0でも可能な場合がございます。
詳しくは、開業に関するよくある質問Q&A「自己資金はどれぐらい準備する?」をご覧ください。
精神科・心療内科クリニックの平均診療報酬の目安
個人クリニックの収支(1カ月あたり)と年収
| 収益 | |
|---|---|
| 診療報酬 | 約446万円 |
| 介護収益 | 0万円 |
| 経費 | |
|---|---|
| 人件費 ※院長の収入は含みません | 約145万円 |
| 医薬品費 | 約25万円 |
| その他 | 約94万円 |
| 精神科・心療内科の1ヶ月あたりの収入(収益ー経費)= 約182万円(年収:約2,184万円) |
|---|
厚生労働省:中央社会保険医療協議会 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和5年実施- 149頁 を参考に集計
医療法人収支(1カ月あたり)と年収
| 収益 | |
|---|---|
| 診療報酬 | 約936万円 |
| 介護収益 | 0万円 |
| 経費 | |
|---|---|
| 人件費 ※院長の収入は含みます | 約521万円 |
| 医薬品費 | 約79万円 |
| その他 | 約269万円 |
| 税引後の精神科・診療内科の1ヶ月あたりの収入(収益ー経費)= 約28万円(年収:約336万円) 理事長先生と理事(奥様や成人したお子様)の報酬を引いた、残りの医療法人の収入です。 |
|---|
厚生労働省:中央社会保険医療協議会 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和5年実施- 161頁 を参考に集計
精神科・心療内科開業医の年収
FPサービス株式会社で精神科開業をお手伝いさせていただいたなかで、実質収入は1,500万円~4,000万円ほどとなっています。
また、概算経費を活用することで、手残りを多くすることができます。
クリニックの収益シミュレーション
保険診療売上が年間4,500万円、経費が1,800万円の場合、以下のようになります。(※あくまで一例となります。)
| 概算経費を用いた場合 | 実際の経費を用いた場合 | |
|---|---|---|
| 売上 | 4,500万円 | 4,500万円 |
| 経費 | 3,055万円(概算) | 1,800万円 |
| 課税所得 | 1,455万円 | 2,700万円 |
| 税金など | 590万円 | 1,187万円 |
※税金:所得税・住民税・社会保険料・国民年金など
経費(支出)が抑えられるのであれば、概算経費を用いるよりも実際の経費で計算した方が手残りは大きくなります。
精神科・心療内科クリニック開業のポイント
令和8年度の診療報酬改定
通院・在宅精神療法(いわゆる通精)を中心に、認知療法・認知行動療法、ショートケア、情報通信機器を用いた通院精神療法など、外来特有の加算が多数あります。
令和8年度診療報酬改定では、この通精まわりの見直しが行われ、
- 初診30分・60分以上の長時間面接の評価の充実
- 早期診療体制充実加算(通精に加算される新評価)
- 心理支援加算の対象疾患拡大と、公認心理師・精神保健指定医などに関する実施者・施設基準の明確化などが整理されています。
特に、精神保健指定医かどうか、指定医の常勤配置を含む施設基準を満たしているかどうかは、一部区分で通精の点数が満額か減額(おおよそ6割)かを分ける要素となっており、医師の資格と体制が収益に直接影響するようになっています。
具体的な点数や算定要件は、通院・在宅精神療法および関連加算の最新の診療報酬点数表・疑義解釈・施設基準届出の手引きをご確認ください。
通院しやすく、目立ち過ぎない開業場所選び
駅から徒歩3~4分圏内の利便性の高い場所が良いでしょう。
都心部での開業の場合、患者さんが遠方から来られるよう駅近の立地は欠かせません。
ただ、精神科・心療内科に来院する患者さんは、通院していることを他人に知られたくないという気持ちがあるため、表通りから1本入った2階以上のテナントを選ぶことをおすすめいたします。
特に、テナントのどこに入ったかが見えにくい2階以上の立地にすることや1フロア1テナントにすることで、患者さんが安心してクリニックに通う環境を整えることができます。
借入可否の確認する
開業資金は他の診療科と比べて少なく済む傾向がありますが、金融機関の融資状況には注意が必要です。
一部の金融機関では、精神科・心療内科クリニックの増加により、融資を制限している場合もあります。
また、診療圏調査の数字は、実態の需要よりも低く算出されるケースも多く、しっかりとしたエビデンスの提示が重要なため、専門のコンサルタントに相談しながら資金計画を進めることをおすすめいたします。
落ち着いた雰囲気で、プライバシーに配慮した内装を意識する

クリニックの内装は、患者さんが気軽に話せる雰囲気を重視し、落ち着いた色合いを基調とすることをおすすめいたします。
診察ではセンシティブな内容を扱うことが多いため、診察室やカウンセリング室のプライバシーを守る環境が大切です。
適切なコストで防音性を確保することも、診察空間づくりのポイントとなります。
また、精神科・心療内科における待合室の空間も重要です。
例えばカフェのように一人用のブース形式にして仕切りパネルを設けることでプライバシーを守る工夫を加えると、安心して受診してもらえる空間を作ることができます。
待合室内で患者さん同士の目線が合わないようにソファを配置するなど空間設計することで患者さんへの満足度を高めることも可能です。
開業当初の看護師採用は慎重に検討を
開業当初は患者数が少ないことが多いため、看護師の採用は慎重に検討する必要があります。
というのも、看護師は医療従事者の中でも人件費が高い職種となっているためです。
実際、弊社で開業された精神科・心療内科の先生からは、「開業して1ヶ月で血液検査は月に2件でした」といった声も寄せられています。
採血のみのために看護師を雇う場合、医療事務を兼任できる臨床検査技師の採用や、院長先生自身が採血を行うことで、人件費を抑えつつクリニックの経営を安定させることができるでしょう。
各専門職との業務分担
精神科・心療内科に関連する専門職は、臨床心理士(公認心理師)、精神保健福祉士など多岐にわたる専門職を活用することが重要です。
患者へのカウンセリングや、自立支援、傷病手当といった各種書類作成を専門職に任せることで、先生の負担を減らし、診療業務に集中することができます。
適切な業務分担が、効率的なクリニック運営の鍵といえるでしょう。
なお職種上、特殊な求人経路となることが多いため、求人媒体については注意が必要です。
しっかりとした集患対策が重要
分かりやすく信頼感のあるホームページ作成を
精神科・心療内科の患者さんは、インターネットを利用してクリニックを探すケースが多いため、「この先生に相談したい」と思えるホームページ作りが重要です。
専門用語は避け、患者さんが理解しやすい内容にすること、さらにSEO対策を強化し、コラム作成に力を入れるとよいでしょう。
コラム作成もSEOを意識した作りが必要になるので業界経験のあるホームページ業者と相談して進めるのが重要となります。
リスティング広告の活用
精神科・心療内科の患者さんは通院していることを周囲に話すことが少なく、口コミでの集患は難しいのが現状です。
狙う地域における競合の有無やWEB上での強さにもよりますが、SEO対策と並行し、狙う地域に応じたリスティング広告を活用し、検索上位に表示させることが重要です。
特に開業当初の集患対策として、有効な手段の1つとなります。
ただし、単に広告を出稿するだけでは十分な効果は得られません。
適切なキーワードを設定し、戦略を立てた広告運用が重要となりますので、信頼できる業者を選び、効果的な運用を目指しましょう。
患者さんの不安を取り除くための体制作り
インターネット上には多くの情報が飛び交っており、薬の副作用や治療内容について不安を抱えて来院する患者さんも少なくありません。
なかには、誤った情報を信じている場合もあるため、不安や誤解を取り除き、薬剤や症状、各種制度など、正確な情報を患者さんに合わせて提供する必要があります。
また、スタッフ研修で基本的な医療知識を身に付けさせることで、患者満足度を向上させると同時に、クレームの防止にもつながります。
電話対応の大切さ
精神科・心療内科では、初診予約を電話で受けることも多く、患者さんが最初に接するのは受付スタッフとなるため、医療事務の採用・選定・教育は特に重要といえます。
他の診療科目より、医療事務の対応力によって患者さんの満足度は大きく影響します。
心が弱っている状態の方がクリニックに電話をされたときに、受付本人に意識はなくとも厳しい口調で伝わってしまうと、患者が離れる原因にもなりえます。
院長先生は普段は診察室にいて受付状況は基本的には把握できないので、経営コンサルタントが入るまでなぜ患者が増えないか原因が掴めないという場合があるほどです。
このような事態を無くすためにも、開業前のスタッフ研修の際に、電話対応もしっかりと研修ができて、開業後の状況がわかるノウハウを持ったコンサルタント会社を探すことが大切です。
近隣の調剤薬局との連携
近隣の調剤薬局(クリニックを中心とした半径100m圏内)に対し、患者さんのプライバシーに配慮した対応を開院前に依頼しましょう。
例えば、名前ではなく番号等でお呼びする、処方箋の確認を指差し確認でご説明するなどが考えられます。
また連携挨拶時に院長先生が使用する処方薬を確認することも重要です。
事前に指定の処方薬を準備出来るか出来ないかは先生の診療にも大きな影響を与えます。
児童精神科の開業のポイント
テナントはやや広めに
精神科・心療内科では広さをそこまで必要としませんが、児童精神科の場合はやや広めのテナントを確保することをおすすめいたします。
これは、お子さんの診察時に、遊んでいる様子を観察するプレイングルームを用意する必要があるためです。
児童精神科では日常生活に近い環境を提供するうえで、一定の広さが求められます。
ホームページの充実
早いうちからホームページで児童精神科関連のコンテンツを充実させ、検索エンジンの評価を得ていくことが重要です。
主に親御さんがホームページを確認するため、安心してお子さんを診てもらえると思える内容にする必要があります。
専門用語は多用せず、わかりやすい文章や親しみやすいデザインを心がけましょう。
また、ホームページ内のコンテンツには、学校生活や家庭での育児に関する話題など、親御さんが共感できる情報を盛り込むことで、敷居が高いと感じさせず、信頼を得るきっかけとなります。
連携体制の構築
ホームページには、児童相談所や学校、警察、行政などの関係機関に伝わるよう、診療理念を明確に記載しましょう。
診療理念を明確にすることで、連携体制の構築や紹介体制の強化につながります。
また、児童精神科を診ることができない精神科・心療内科クリニックからの紹介体制を構築することで、集患にも役立ちます。
予約料などの料金設定
児童精神科では、患者さん本人だけでなく親御さんと一緒に初診を行い、診断や治療計画を立てることが一般的です。
その分、診察時間が長くなる傾向があり、じっくりとお話を聞くという診療理念を保ちながら利益を確保する仕組みが重要です。
予約料を含めた料金体系を整えることで、経営の安定化につながります。
オンライン診療の実施
遠方からの来院が想定される児童精神科では、オンライン診療を導入することも有効な選択肢です。
専用枠を確保し、無理のない範囲で運用することで、患者さんの利便性を高めつつ、売上にも貢献できます。
また、オンライン診療のシステム導入や、ホームページ上での丁寧な案内は、患者さんがスムーズに利用できるようにしっかりと整備することが大切です。
精神科・心療内科クリニックの失敗事例
テナントまでの患者導線を見落としてしまうことによる失敗
失敗して撤退に追い込まれるケースの1つに、クリニックモールや商業施設での開業があります。
他の患者さんと顔を合わせやすい環境や、プライバシー保護が十分でない場合、患者さんの心理的負担が大きくなり、来院が遠のいてしまうことがあります。
クリニックモールや商業施設は、他科目を受診される患者さんや受診以外の目的の人が集まりやすいと必然的に人目に付くことになります。
雑居ビルであれば入口からどこに向かうかが分かりにくい場合が多く、またクリニック以外が入っている建物であれば、必ずしも同時間で人が集まりやすい環境を避けることができるのでプライバシーが保護されやすいと言えます。
特に精神科に通う患者さんの多くは、他人に自分が通院していることを知られたくないという強い思いを持っており、なかには、健康保険証を使用すると勤務先に通院が知られてしまうのではないかと誤解し、自費診療を希望する患者さんもいるほどです。
そのため、プライバシーに配慮した環境が求められます。
もちろん すべてのクリニックモールや商業施設での開業が悪いというわけではありませんが、患者導線やフロアの位置関係、他科目の状況などの視点を見落としてしまうと、上記理由によって集患がうまくいかない場合もあるので慎重に検討しましょう。
また、物件業者だけの意見を参考にするのではなく、第3者目線での選定をしてくれるコンサルタント業者を入れることも重要といえます。
銀行の融資が受けられない
精神科・心療内科は、全診療科のなかでも開業失敗例が多いとされています。
こうした背景から、一部のリース会社や金融機関では、精神科・心療内科開業への融資を行わない方針を取っているところもあります。
金融機関が融資を渋るのは失敗リスクを高く見積もるためです。
だからこそ、明確で実現性のある事業計画を立てること、クリニック開業に精通したコンサルタントに相談し、プロの視点から資金計画をサポートしてもらうことが大切になってきます。
近隣薬局との連携不足
近隣に連携できる薬局がないまま開業してしまうと、患者さんのプライバシー配慮が行き届かず、薬局が障害となって患者さんの脱落を招くケースがあります。
薬局側が十分に患者さんのニーズに対応できない場合、クリニックの信頼性も損なわれる恐れもあります。
薬局主導の開業リスク
薬局の勧めるままに開業を進めると、経営権が薬局寄りになり、クリニック診療理念に反する判断がなされる可能性があります。
例えば、ジェネリック医薬品の処方を優先されることで、患者さんにとって最善の医療を提供できない場合があり、本末転倒な結果を招くリスクも考えられます。
このような事態を避けるためにも賃貸借契約前に事前に処方薬の考え方などを確認しておくことも重要です。
精神科・心療内科で算定可能な施設基準について
精神科・心療内科では、施設基準はありませんが、診療内容に応じて、算定できるものがあります。
- 認知療法・認知行動療法
- 精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア
- 早期診療体制充実加算
- 情報通信機器を用いた通院精神療法
- 児童思春期精神科専門管理加算
- 療養生活継続支援加算
- 児童思春期支援指導加算
- 心理支援加算
また、予約料を取る場合には、届出を行う必要があります。
医師資格
- 精神保健指定医
- 精神科専門医加算
- 心療内科専門医加算
無料相談をご利用ください
競争が厳しい心療内科・精神科での開業では、開業前に十分な戦略を練ることが重要です。
どのようなコンセプトにするか、開業場所や広告戦略でお悩みのことがございましたら、ぜひ一度無料相談をご利用ください。
無料相談では、弊社の実績をもとに、状況にあった開業プランをご提案させていただきます。
そのほか不明点や疑問がございましたら、コンサルタントがお答えさせていただきますので、お気軽にお申込みください。
この記事の監修者 椎原 正
FPサービス株式会社 代表取締役
FPサービス株式会社創業者。中小企業診断士(経済産業大臣認定・国家資格)。
クリニックの開業および経営コンサルティングに長年携わり、事業計画策定や資金調達、
開業後の経営支援まで幅広くサポートしている。著書に『クリニック開業[実践]ガイダンス』
『<決定版>クリニック開業ガイダンス』(いずれも現代書林)があり、累計4,400部を突破。
≫代表挨拶はこちら