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ドクターサポート通信

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クリニックにおける労務管理

クリニックで働くスタッフがその能力を十分に発揮し、質の高い医療サービスを提供していくためには、適切な労務管理を行うことが必要です。しかしながら、クリニックなどの医療機関は昔から労務管理や人事管理に対する体制が弱いと言われています。その原因としては、大きく以下の様な項目に分けられます。

  1. 管理者の労務管理や労働法に関する知識不足
  2. 労働時間の管理の難しさ
  3. 様々な専門職の混在
  4. スタッフの経営者意識(クリニックへの帰属意識)の不足

それぞれを簡単にご紹介していきます。

1.管理者の労務管理や労働法に関する知識不足

医療機関や社会福祉施設では、労働基準法の違反が多くのところで指摘され、問題提起されてきました。医療法や健康保険法は遵守していても、労働法のイロハが遵守されていないということが起きています。他産業においては、組織のトップは必要なマネジメント能力を有して、それなりの管理体制が整えられています。

しかしクリニックの院長は医師であり医療に関しては専門家ですが、法律やマネジメントに関しては専門家ではありません。病院などでは、事務局に他産業でマネジメントの実践経験のある労務担当者が配置されているケースも見られますが、クリニックにおいてはまれです。例えば、賃金の不払い(サービス残業)です。労働基準法による法定労働時間は、原則1日8時間・週40時間までとされています。それを超えた場合は時間外労働となり、割増賃金の支払い対象となりますが、それが適正に支払われていないケースをサービス残業と言います。

これらのことを含め、事業主としては労務管理の基本的な部分を理解しておく、もしくはそうした相談をきちんとできる場を設けて置く必要があります。

2.労働時間の管理の難しさ

労働時間管理に関しては、従業員が2交代制で実施しているケースで特に問題視されています。一定ルールの中で労働時間を管理しなければなりませんが、休憩を含んだ拘束時間と実労働時間の管理などで、法定労働時間遵守についての問題を起こしやすくなっています。労働時間を管理するために、従業員の労働日毎の始業・終業時刻を把握し、記録することは、事業主の責務になっています。

3.様々な専門職の混在

クリニックでは、医療事務や看護師の他、技師等の様々な専門職の方が混在しています。このために、職種によって処遇や労働条件が異なるため管理が煩雑になりがちです。仕事の内容にばらつきがあるため、複数の職種で処遇を統一的に管理するのは困難です。

例えば社会福祉施設ではスタッフの処遇改善を図り、意欲を持って快適に働いてもらうため、「キャリアパス制度*1」を導入しているケースが増え、職種別の技能・知識・経験・習熟度などと賃金がリンクし、総合的な人事制度を行うようになってきています。スタッフが納得・安心して働くことができるように、労働条件などを明示し総合的な人事・労務管理を行うことが大切です。

4.スタッフの経営者意識(クリニックへの帰属意識)の不足

医療スタッフの経営者意識の欠乏は、非常に難しい課題です。クリニックは管理者イコール医師であり、かつ医療サービスの中心である診療も医師でないと行うことができません。このように医療サービス業務は、全て医師を中心として行われるため、医師以外の医療スタッフが経営サイドの視点に立つ意識は希薄になりがちです。

クリニックへの帰属意識の向上は、医療スタッフへの動議付けやモチベーションの向上などの管理手法よりも、医師の人となり(人間性)に依存することの方が大きいと考えられます。常日頃からスタッフとのコミュニケーションをよく取り、良好な人間関係を築きながら総合的に管理を行っていく必要があります。


クリニックの経営においては、こうした医療の提供以外の部分が管理者に求められます。診療もしつつ経営を行うということは決して容易ではありません。しかしこうした問題をそのままにしておくと、少しずつスタッフやクリニックの中に不満や疑問が生まれ、不和を生みやすい環境を作り出してしまいます。

今はまだ大きな問題になっていない、という場合にこそしっかりとした体制作りをしていくチャンスです。実際にクリニックが今どんな状態なのか、また対策が必要なのかといったことをご相談下さい。

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