病院再生・売却
悪徳医療法人の救済の手!?
これは、実際に神奈川県内にある経営難の病院をお手伝いさせていただいた話です。
救済の手を差し伸べてくれたのはある悪徳医療法人でした。
神奈川県も市も、状況は把握しているものの医療法上の違反があるわけでもないので、こういうケースでは事前相談がない限りは情報をオープンにしないと思われれます。
実情は、「乗っ取り」でした。
悪徳医療法人からのアプローチは、「経営を承継して債務を引き継ぎます。病院も存続させ、院長として引き続き診療もしていただきます。必要な資金はすべて援助させていただきます。」という一見ありがたいお話でした。
しかし、合併と買収では、隠れた債務が一番怖いので、退職金債務を計算してそれ以外の債務が無いことを確約して、要求された資料をすべて提出しました。
その際、先方からは退職金を少し支給して、理事長を降りてもらいたいとの申し出がありました。こちらは、債務の保証人になっているので保証債務の引継ぎの具体的な手続きに入りました。
悪徳医療法人からの答えは「債務は経営とともに継承するが、保証債務はそのままである。
退職金の一部を支払った時点で、理事長を退任し通帳と実印をすべて引き渡してもらう。」というものでした。
これは、合併と買収でもなく、経営権の承継といえば承継ですが、クリニックの院長は、財産をすべて渡しても借金の保証人からは外れられない、経営権も奪われる、雇われ院長で一生働くというとんでもない契約です。
違法ではありませんが、1円と10,000円を交換するような契約で、詐欺のようなものです。
さすがに、この案件のコンサルティングに入った公認会計士も弁護士も、あまりのひどさに問題点を指摘しましたが、合併と買収について素人ではないかとの失礼なメールまで送ってきました。
その他にもとんでもない書類をいろいろ提示していただいたのですが、今でも、大切に宝物として取ってあります。
病院の債務を引き継いでくれる、債務を肩代わりして救済してくれるという話には要注意です。必ず、都道府県の医療法人を管轄する部署に事前相談をし、相手方の情報を入手しましょう。
また、都道府県は個別の契約に関しては、良いとも悪いともいえないので合併と買収の専門家か、医業経営コンサルタントの医療法人の運営管理の専門家に相談されることを強くお勧めします。